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スピーチ&笔记録

援助を超えて

2011年9月14日


ロバート?叠?ゼーリック世界银行グループ総裁 ジョージ?ワシントン大学

スピーチ原稿

I はじめに:重要な岐路に立つ

中国?贵州省の山间部の、とある村。アフリカや南米、インドにある村とさして変わらない村ですが、人々が集まって自分たちの将来について话し合っています。配布资料も、政策の処方笺も要りません。おえら方の御高説などはまっぴらです。村人が欲しいのは机会です。彼らは、过去と决别する覚悟ができています。でも我々はどうでしょうか。

ハーバード大学の政治?歴史学者である2人の著名な教授、リチャード?ニュースタットとアーネスト?メイは、その共著「Thinking in Time(邦題:ハーバード流歴史活用法)」の中で、いわゆる「歴史の教訓」は往々にして誤解され、間違った決定が導かれたとしています。そして、歴史は、過去の経緯と将来の可能性の中で、現在の問題を考察する、すなわち「時の流れ」の中で考える方が人々の役に立つとしています。歴史は解決策ではなく、疑問点を提示してきたと言うのです。

では、2011年秋という先行き不透明なこの时に、我々はどのような疑问点と将来の可能性を考察すべきなのでしょうか。また、现在の课题は过去の出来事とどう関わっているのでしょうか。

间もなく开催される世银グループの年次総会の基をたどっていくと、1944年に44か国の代表を集めてニューハンプシャー州ブレトンウッズで开かれた会议に行きつきます。

1944年当时、世界はまだ戦争の最中でした。およそ6000万もの命を夺った大戦でした。

取り组むべき课题は気の远くなるようなものでした。1919年の国际政治経済秩序が20年代、30年代になぜあれほど无残に崩壊してしまったのかを検証し、新たな国际経済体制を立案し、平和を回復し、復兴を遂げる必要があったのです。

この歴史的な会合によって、今日なおも「ブレトンウッズ体制」と呼ばれる3つの土台が筑かれました。

一つ目は国际通货基金(滨惭贵)です。国际収支の一时的な不均衡に対する融资を行って為替レートの调整を管理することで、「近隣穷乏化」の為替レート切り下げ竞争や、国や社会を破壊しかねない资本流出の回避を図りました。

二つ目は国际復兴开発银行(滨叠搁顿)、つまり现在の世界银行です。投资や援助を必要とする国に长期资金を提供することで、各国が成长し、贸易を行い、戦争で疲弊した社会に希望をもたらすことを目指しました。

第叁は、贸易の障壁を削减し、开かれた市场を构筑し、报復的な保护主义や経済纷争の悪循环を阻止するものでした。

ブレトンウッズの起草者は、彼らの时代に见合った体制を确立しました。

その时代について、しばし振り返ってみましょう。

当时、戦后の壊灭的な状况の中でも、先进国は世界の骋顿笔の约80%を、米国だけで40%以上を占めていました。

先进国が世界贸易の3分の2以上を占め、现在の途上国の大半はまだ植民地だった时代です。

それから70年近く経った今も、1944年当时の国际构造は残っています。この体制は70年代のドル?ショックと石油ショック、80年代の途上国の债务问题、90年代の景気拡大と后退など、苦しみ、もがきながら今日に至っていますが、大枠は损なわれていません。

弱点もあり、批判も浴び、ツギハギだらけですが、ブレトンウッズ体制は、歴史上で类のない伟大なる成长の时代をもたらし、最大规模の経済発展を最短で成功させる枠组みとなりました。1人当たり骋顿笔を倍増させるのに19世纪において现在の工业国が25年かかったのに対し、それを10年で成し遂げた国まであります。

しかし、ブレトンウッズ体制そのものは神圣でもなければ永远でもありません。

この体制の创始者たちが残した重要な洞察は、过去にない异质の出来事が発生した际にそれを见极める英知と、この新たな事象に対応するために、大胆かつ断固として、しかし协调的な行动をとる覚悟の必要性です。

今日、歴史は再び、赤や黄の警告の信号を点灭させています。もちろん青もありますが。我々は2011年の问题に、过去を懐しむようにして取り组んで行くのでしょうか。それとも、问题を拒否し、穴にもぐってしまうのでしょうか。批判しながら、非难によって、将来性を曖昧にしてしまうのでしょうか。

あるいは、逃げ腰でしょうか。

それとも、问题に正面から、建设的にかつ创造的に取り组むのでしょうか。过去の経験をもって里づけつつ、この时代にふさわしい新たな考え方で临むのでしょうか。大きな状况の変化を认识した上で、全ての人々が男性も女性も、そして全ての国が共に前进できる道すじを见出すでしょうか。

II 地殻構造の変動

歴史上の大きな転机に当たってはいつもそうですが、我々は、本当のところ何が起きているのか问いかけねばなりません。

地殻変动は始まっています。

90年代、途上国は世界全体の成长のおよそ5分の1の寄与に过ぎませんでしたが、今では、世界経済を牵引する原动力となっています。

90年代、途上国への投资は世界全体の约20%でしたが、今日では约45%を呼び込んでいます。

过去10年间に、途上国は先进国の4倍近いペースで成长しました。この轨道は今后も続く见込みです。

ブラジル、中国、インド、インドネシア、韩国、ロシアの主要新兴6か国で、2025年までに世界全体の成长の半分以上を占めるとの予测もあります。

仮に中国の32省がそれぞれ国家だとすると(各省ともに人口は大半の国を上回っています)、いずれも过去30年间に世界で最も急成长を遂げた33か国に含まれることになります。

现在、中国は、全世界のセメントの半分以上、鉄鉱石、钢鉄、豚の半分弱、そして卵の3分の1を消费しています。しかも中国は、铜、アルミ、ニッケルといった鉱物についても世界最大の消费国です。中国への直接投资(贵顿滨)の纯流入额は、10年前には400亿ドル程度だったのが、现在ではおよそ1800亿ドルに达しています。

中国が成长の基盘固め段阶から移行するにつれ、原料や鉱物に対する需要は几分低下するでしょうが、今度はインドが出てきます。

时代は1944年とは违うのです。

ですが、こうした倾向がそのまま続くと考えるのは危険です。中国の指导者も承知している通り、この高成长モデルは持続可能ではありません。中国は、环境劣化、格差、资源利用、人口动态、生产性の伸び、対外需要への过剰依存といった课题を认识しつつあります。

もし中国の国民1人当たり所得が2030年までに1万6000ドル(现在は4,000ドル)に达するならば(これは合理的な可能性です)、世界経済に及ぼす影响は、韩国が15诞生したのと同じです。そうした展开が、输出?投资主导の成长モデルの枠内で持続可能と考えるのは困难です。

私はまた、先进国経済の衰退が必至だとする予测にも懐疑的です。国际収支と财政赤字に関して、信认の回復に向け、単なる目先の措置ではなく、信頼性が高く确実に実行可能な行动をとることにより、また、民间セクターの成长促进、生产性向上、雇用创出に向けた构造改革や税制改革に集中的に取り组むことにより、先进国は方向転换を果たし、力强く前进することができるでしょう。ヨーロッパのオズワルド?スペングラーが唱えた悲観论から、ケインズ学派を代表するハーバード大学の経済学者アルビン?ハンセンの景気停滞仮説まで、景気停滞と衰退の予测はいずれも误りでした。

また、先进国はもはや国外の问题に取り组む余裕などないと言える时でもありません。ハリー?トルーマン大统领时代の1947年の米国では、一人当たり所得は今日の3分の1未満でした。1人当たり所得が现在の3分の1未満であった当时の人々が大胆に世界に立ち向かえたのであれば、我々も同じようにできるはずではないでしょうか。

米国、欧州、日本をはじめとする先进国は、技术革新、投资、安全保障、そして开発の面で重要な役割を果たしています。こうした国々の贡献があってこそ、现下の国际秩序は支えられているのです。お互いに协力しながら未来を筑くことは、主要先进国自身の利益であり、世界全体の利益でもあります。

何か根本的な动きが始まっています。しかし、歴史の教训は、国际协调を放弃するのではなく、革新を进めなくてはなりません。

何か根本的な动きが始まっています。しかし、歴史の教训は、开発の民主化を进め、国境の内侧に闭じこもったり、过去の真実という误った心地よさの中に隠れたりしてはいけないとしています。

古い概念を変え、制约のレッテルを捨てることが必要なのであり、国际协调のコミットメントを失ってはならないというのが、歴史の教训です。

レッテルの例は、以下の通り様々です。

「第一世界」と「第叁世界」、「北」と「南」、「先进国」と「后进国」、「先进国」および「新兴国」、「ドナー」と「受益国」、「ほどこす者」と「乞う者」、「富む人」と「贫しい人」、「彼ら」と「我々」。

开発で使われる言叶は、古いヒエラルキーの言叶でした。それは、旧世界であり旧来の秩序です。それらを、偽善だと考えることさえなく使ってきたのです。

电力の50%近くを石炭に頼っている国が、石炭以外にエネルギー资源のない贫困国に対し、石炭を使ってはいけないと言う。これは一体どういう意味でしょうか。本当は、「我々の言うとおりにしろ。やるとおりにするな」と言っているのです。

多额の财政赤字を抱える国が、贫しい国に対し、财政の规律を守れと説教をする。これは一体どういう意味なのでしょうか。本当は、「我々の言うとおりにしろ。やるとおりにするな」と言っているのです。

自由贸易を掲げる国が、途上国には障壁を设ける。これは一体どういう意味なのでしょうか。本当は「我々の言うとおりにしろ。やるとおりにするな」と言っているのです。

最贫国に対し债务の持続可能性を唱えながら、自国は空前の债务を抱えている。これは一体どういう意味なのでしょうか。「我々の言うとおりにしろ。やるとおりにするな」と言っているのです。

「我々の言うとおりにしろ。やるとおりにするな」というような世界経済は、やがてばらばらになり、谁もが败者となります。

旧来のやり方を変えることは可能です。また、そうしなければなりません。

III 旧式モデルは使えない

変化の兆候は既に见られます。

世界中の途上国が模范としつつあるのは、もはや欧州式、日本式、米国式のモデルではありません。

メキシコとブラジルの条件付现金送付システムは、财政を破绽させることなく子供たちの就学を増やし、母子の死亡率を改善し、贫困を克服するイノベーションとして注目されいます。

北アフリカと中东で起きている改革は、トルコが过去10年に推进してきた改革プログラムから刺激を受けています。

シンガポールの开かれた経済、サービスの集约、腐败防止、そして状况変化に対する彻底した适応を合わせて推进する政策は、アフリカ、湾岸诸国、ロシアなど地理的に离れている国や地域からも模范とされています。

インドの情报技术サービス?モデルは、ガーナ、ケニア、マダガスカル、モザンビーク、ナイジェリア、セネガル、ルワンダ、タンザニア等でも模倣されています。

コロンビアの大量输送システムは、国际的なベスト?プラクティスとして认识され、メキシコシティからサンティアゴ、リマに至る域内の多くの都市が后に続いています。

途上国同士の関係が、开発途上国に対する我々の认识を変えています。

90年代、途上国が他の途上国から输入する商品は全体の15%でしたが、今ではその3倍になっています。

2008年の「南?南」海外直接投资(贵顿滨)は、途上国向け贵顿滨全体の3分の1に过ぎませんでしたが、わずか3年后の现在では40%近くまで高まっています。

国连の推定によると、インフラ?セクターだけをとっても、1996~2006年の途上国からの対外投资は、アフリカ向けで39%以上、アジア向けで43%弱、ラテンアメリカ向けで16%近くを占めています。

途上国はもはや単なる援助の受け入れ国ではなく、援助の提供者でもあります。新兴国ドナーは2008年に120~150亿ドルの开発援助を提供しました。これは、控えめに见积もっても従来の先进国ドナーが提供した额の10~15%に相当します。

无论、途上国は问题も抱えています。1日2ドル未満で生活する贫困层のおよそ75%は「中所得」国に暮らしています。途上国が、目の前に突きつけられた新たな责任を受け入れるに当たり神経质になるのも理解できます。

これは将来的にどういった意味をもつのでしょうか。

IV 新たな通常は、通常な状態がない状態です

「新たな通常」は、通常な状态がない状态です。

「新たな通常」は、固定的でなくダイナミックに変化し、より多くの国が立ち上がり国际システムを形成するものです。つまずく国もあるかもしれません。こうして立ち上がった国々は、国、国际机関、シビルソサイエティ、民间セクターで作る新たなネットワークに様々な组み合わせとパターンで参画するでしょう。この新たなネットワークが旧来のヒエラルキーに取って代わりつつあります。

「新たな通常」では、各国は、过去の序列や公的特権ではなく、不断に世界経済の课题に取り组むことによって地位を确保することになります。

この?新たな通常」とは、流动的で、时としてショックや危机を伴う変化の激しいものとなるでしょう。但し、各国にとっては、世界経済の恩恵を受ける机会が一段と増えるでしょう。

また、「新たな通常」では、単に成长がシフトするのではなく、高めます。古い雇用の価値が低下するのに伴い新たな雇用を创出し、持続可能で环境に配虑した成长の潜在性を捉え、イノベーションや新技术の発明、変化するニーズへの対応に向けて民间セクターを刺激します。

「新たな通常」では、雇用は単なる成长の副产物と见なされるのではなく、生活水準の向上、生产性改善、健全な社会変革、社会的结束の强化に、いかに贡献できるかを认识されます。

また「新たな通常」では、旧来のレッテルにとらわれることなく、あらゆる国々のアイデアと経験から教训を引き出す高い问题意识によって成功するという「スマートな経済力」を目指します。

さらに「新たな通常」では、コミュニティの女性や、各国の市民、そして国际システムに参加している国々にボイスを与えます。中东?北アフリカで见られた通り、社会的説明责任、政府の透明性、市民社会の确立が求められます。そして、各国が竞って変化に追いつこうとする中、市民が世界を変えつつあります。我々はそうした人々を支援しなければなりません。

V 責任あるステークホルダー

この新たな世界に适応するということは、滨惭贵や世银グループの理事会の议决権を変えれば済むという问题ではありません。

途上国が先进国に指図されるという図式でもありません。

それは、南北问题でも、互いにいがみ合い非难し合うゼロ?サムの駆け引きでもありません。

この新たな世界への适応には、我々全员が今责任あるステークホルダーになることを认识する必要があります。

相互依存の世界経済では、もちろん、中国も责任あるステークホルダーになることが求められています。

中国は、责任ある贸易パートナー、责任ある為替相场制度、知的财产権の责任ある保护、责任ある投资、责任ある环境政策の実施が求められています。但し、これは中国に限ったことではありません。

欧州、日本、米国もまた、责任あるステークホルダーとならねばなりません。これらの国や地域では、难しい决断をあまりに长い间、先延ばしにしてきた结果、今や痛みを伴う一握りの选択肢しか残されていません。

欧州各国が、共通の通货に対する共通の责任という、困难な真実を认めまいと抵抗する中、世界経済は、ほとんど余裕のない新たな危険ゾーンに突入しています。

日本は、混乱している経済成长モデルを立て直すための构造的な経済?社会改革に抵抗してきました。

米国は、平时としは最大の财政赤字を抱え、债务の加速要因の削减方法について合意に至る兆しがありません。

2008年とそれ以前の危机から得られた教训は、行动が遅れれば遅れるほど、しなければならないことが増え、痛みも大きくなるということです。

ユーロ圏が、通货同盟で団结を誓いながら、それが机能するよう财政面で连携することもなく、竞争力のない重债务加盟国に及んだ影响を受け入れることもないのは无责任です。米国も、社会福祉予算の持続不可能な増大や、成长促进型税制の必要性、行き詰った贸易政策など基本的な问题への対応をためらっています。

欧州、日本、米国がこうした责任に正面から取り组むことができなければ、自国だけでなく世界経済の足を引っ张ることになるでしょう。

つまり、新兴市场国を世界経済の新たな原动力へと発展させた地殻変动が问题なのではなく、先进国に急ブレーキをかけさせた地殻変动が问题になります。

新兴市场国は、傍観者に甘んじることはないでしょう。リーダーと追従者で构成され、一部の国だけが影响力を行使し、ヒエラルキーの强いあの1944年の世界に戻ろうとはしないでしょう。そこでは、途上国には発言権も力も与えられていませんでした。

1944年体制から得られた见识は、リーダーシップの必要性、そして新しい国际协调システムへの道すじを论理的に考えることの必要性です。

泥縄式で対応していく时代は终わりました。

もし我々が先を见越すことができず、変化に适応せず、目先の政治的策略から脱却せず、権力には责任が伴うことを认识しないのであれば、我々は、危険な潮の流れに饮み込まれてしまうでしょう。この点こそが、先进国?新兴国の区别なく、我々全员にとっての歴史の教训です。

とは言え、正しく対応すれば、とてつもなく大きな可能性が开けてきます。

VI 開発にとっての新たな世界の意味

途上国に住む贫困层の割合は过去25年间で半减しました。

アフリカの18か国では、子供の死亡率がわずか4年间で25%も低下しました。

金融危机以前の10年间に、サブサハラ?アフリカ诸国は平均5~6%の経済成长を遂げてきましたが、今や大半のアフリカ诸国の成长率は既に危机前の水準まで回復し、さらにそれを上回っています。この成长率を维持できた场合、アフリカの骋顿笔は今后およそ12年で倍増し、1人当たり骋顿笔においては约50%の伸びを示すことになります。以前には不可能だった人材育成、生产性拡大、インフラ、そしてもちろん贫困削减への投资に向けて歳入が生み出されるでしょう。

可能性は民间セクターにもあります。

サブサハラ?アフリカでは、过去10年にわたる総额770亿ドルの通信ネットワークへの投资により、携帯电话加入者がそれまでの1000万人以下から4亿人近くに増えるなど、民间セクターの力が确认されています。

また、途上国による製造业やインフラへの爆発的な投资が、民间セクター主导の成长を実现する可能性もあります。

また、民间资本を途上国に投入しようとするエクイティ?ファンドなど投资家も急増しています。

私が申し上げたいのは基本的なことです。今日、1944年には考えられなかった形で、経済、贸易、金融の相互依存が进んでいます。

また、やはり1944年には理解しがたかった形で、イノベーション、科学の飞跃的な発展、通信の発达がみられます。

サプライチェーンや物流システムは、大陆や海洋を超えて広がっています。

そして、新たな経済力による多极化された成长や「南?南」协力による开発のパターンが见られます。

いずれも1944年には想像もつかなかった展开です。

我々はこうした変化を、革新的な国际协调主义につなげ、新たな世界経済をもたらすことができるでしょうか。一方的な依存を乗り超え、ドナーと被援助国という単纯な区别を克服し、援助を超えた世界を确立することができるでしょうか。

VII 援助を超えた新たな考え方

ブレトンウッズ体制の确立以前、対外援助は主に、飢饉、洪水、地震、纷争を逃れる难民といった人道危机への対応に充てられていました。

その后援助は、第二次大戦后の荒廃とその后の植民地独立において、国内贮蓄の不足、资本规制の不备、脆弱な状况といった足かせで滞っていた民间投资の活性化に役立ったようです。また、援助は、二极分化した冷戦下において、味方に付けるための手段にも使われました。

1944年の时代から世界は大きく変化しました。我々は今、援助について改めて考え直すべきです。

但し、こうした変化は、もはや援助が不要となったという訳でも、先进国が援助の约束を守らなくてよいという訳でも、援助のこれまでの成果を无视してよいという訳でもありません。

过去10年间、世银グループは、最贫困国のための基金である国际开発协会(滨顿础)を通じて79か国の最贫国と协力し、4700万人以上の人々に基本的医疗、栄养、家族计画サービスを提供し、9800万人の子供たちの栄养を改善し、1亿1300万人以上の人々に清洁な水へのアクセスを确保し、3亿1000万人の子供たちに予防接种を行ってきました。

こうした援助は、世界各地で今も数百万の人々にとって生きるか死ぬかを左右するものであり、途上国が成长の阶段を上る支援であることに変わりはありません。

例えば、「アフリカの角」では、60年来で最悪の干ばつだけでなく、后先を省みない武装势力による闘争に苦しむ1200万人以上の人々のために紧急援助が必要となっています。

また、アフガニスタンでは、対象を明确に绞り込んだ援助プログラムが、教育や基本的医疗へのアクセス、农村の生计改善、民间セクターの発展支援、コミュニティのエンパワメントや开発への関与などに大きく贡献してきました。

ミレニアム开発目标(惭顿骋蝉)の达成には、课题が山积しています。

脆弱国や、纷争、暴力の影响下にある国に住み、今や15亿人近くに膨れ上がった「底辺の10亿人」についても、まだ多くの课题が残っています。これらの国で、ミレニアム开発目标を1つでも达成した国はまだありません。

しかし援助は単に命を守るためではありません。

また、援助は先进国が片方の手で提供しつつ、他方の手で农业や贸易の市场から途上国を闭め出したり、持続可能なエネルギーへのアクセスを制限するものではありません。

「援助を超えた」世界において、援助は、グローバルな成长戦略に组み込まれ、结び付けられるべきであり、成长は基本的に民间投资と起业によって牵引されるべきものです。その目标は、チャリティではなく、成长の多极化をさらに进めて相互利益を図ることです。

「援助を超えた」世界では、骋7の健全な経済政策が骋顿笔に占める援助の割合と同様に重要となります。

「援助を超えた」世界では、不均衡、构造改革、化石燃料への补助金や食粮安全保障に関する骋20の协定が、骋顿笔に占める援助の割合同様に重要となるでしょう。

「援助を超えた」世界では、进んだ新兴国が、経験、市场开放、投资、新たな型の援助といった分野で、遅れた国を支援することになります。

「援助を超えた」世界では、滨贵颁のアセット?マネジメント社(础惭颁)のような新しい投资手段が、民间投资によって资本仲介の全く新しい道を切り开くでしょう。

また、「援助を超えた」世界では、新たな金融手段が、小规模农家を干ばつから守り、国家をハリケーンから守るほか、现地通货建て债券市场の构筑、新たなエクイティ投资の活用、现地における一次产物取引所の设置、途上国向けヘッジ手段の开発などで贡献するでしょう。

さらに「援助を超えた」世界では、イノベーションや科学の飞跃的进歩への支援により、干ばつに强く、栄养価の高い、高収量の作物への品种改良や、効率が良く炭素を排出しないエネルギー源の开発、そして人命を救う新ワクチンの発见が実现するでしょう。

先进国は、途上国を持続可能な成长轨道に乗せるための支援が自国の利益になることを理解する必要があります。先进国には誓约の実行が求められていますが、ドナー国が债务返済に苦戦しているため、援助を取り巻く环境が冷え込むことも认识する必要があります。

そして纳税者には、世银などの开発机関もまた责任あるステークホルダーであることを知る権利があります。

そこで我々はこれまで以上に、援助の有効性を立証し、费用対効果を示し、结果を出すことに力を注がなければなりません。また、新たな手段を通じて援助を有効に活用すると共に、一段と斩新なアプローチを通じてより多くのステークホルダーの参加を促すことで、拠出者层の拡大を図ることが必要となります。

VIII 援助を超えた世界の実際面での意味

「援助を超えた」世界は実际面でどのような意味を持つのでしょうか。

国レベルでは、「援助を超えて」いくために、国内贮蓄や収益が透明な形で动员?活用され、女性を含めた万人のための与信サービスや贮蓄システムなど、贫困层を配虑した金融が実现されるでしょう。また、现地资本市场において现地通货建てで资金调达が行われることになります。

また、良いガバナンス、开放性、透明性が求められ、市民による関与とボイスが促进されます。

そして、効率的なセーフティネット、基本的公共サービス、さらに职业训练や雇用と结びついた质の高い教育へのアクセスといった自国民への投资が必要となり、公共机関および公务员には、単に利益を代表するのではなく、结果を出すことが求められます。

さらに、起业家、小规模公司、民间投资、イノベーションの奨励が求められます。

そして、革新的な「官民パートナーシップ」などを通じて、将来の生产性の基础を筑くためのインフラ投资が必要です。

データ収集と情报共有を进める一方で、通信网整备への投资も必要です。この新たな世界経済では、优良なデータと情报は、少なくとも资金支援と同様に重要となります。世界银行がデータ、知见、ソリューションを公开する「オープン?データ?イニシアティブ」は、既に情报の持つ威力を明らかにしています。データの作成と共有、ならびに开発の民主化に力を贷してくれる他の组织への支援を通じて、世银は、ジェンダーの平等から贸易政策にいたるまで、公共财を提供することができます。

地域レベルでは、「援助を超えて」いくために、市场拡大、贸易振兴のための物流促进、関税制度の合理化、エネルギー提供、域内インフラへの投资を支援するための统合が必要です。

また、国际レベルでは、贸易の开放および贸易への投资、エネルギー?アクセス、食粮安全保障、サービス?セクターにおける竞争、気候変动対応を前进させるための国际协调によるイノベーションが求められます。但し、常に全员の参画を待つのではなく、成果の达成が可能な连合体が推进することになります。

さらに、政策や资金调达の新たな可能性を探求するに当たり、骋20を含め、全员が役割を担う国际协调システムを活用することが必要です。

世银グループが「援助を超えて」いくには、世界中から情报、経験、解决策を引き出し、研究し、ニーズにあわせ作り変え、共有することが求められ、知识を広く公开するパートナーを目指して変貌し続けることが必要です。世银グループは、政府の様々なレベル、公司、シビルソサイエティのいずれかを问わず、市场や制度、能力の构筑において、投资家として、また投资のための仲介机関として机能することになるでしょう。また、民主化された开発モデルにおいて行动を促す触媒となるでしょう。経済、开発、贫困、リスクの问题に対しては、国际协调によるソリューションを奨励する役割を果たすでしょう。そして世银グループは、贫困层に配虑した持続可能な成长を推进していくことになります。

3年前、私は、こうしたイノベーションの一つとして「1パーセント?ソリューション」を提唱しました。これは、世界的な新たな资金源である政府系ファンドが、保有资产の1%をアフリカの発展のために投资するというものです。现在、滨贵颁のアセット?マネジメント社は、アフリカやラテンアメリカ?カリブ海地域など、支援が不十分な市场に出资することにより、このアイデアを実行しています。今日、础惭颁への誓约拠出総额は40亿ドルを超えており、その内30亿ドル近くは、これまで新兴市场にほとんどエクスポージャのなかった政府系ファンドや年金基金といった外部投资家からの资金です。

IX 50パーセント?ソリューション

私は本日ここで、「援助を超えた?世界に近づくためのもう一つのアイデアとして、「50パーセント?ソリューション」を提唱したいと思います。

女性は、世界人口の50%、世界の労働力の40%を占めており、アフリカでは、女性がコミュニティの要となっています。女性は、农民の过半数を占め、アフリカで生产される食粮の80%を生产しています。

ところが、女性は世界の富のわずか1%しか保有していません。

途上国では、女子の乳幼児期の生存率、女性の出产适齢期における生存率は共に、男性より低い倾向にあります。

女性は、労働に対する対価を手にする机会も、収益性の高い农作物を生产する机会も、土地などの资产を保有する可能性も少ない倾向にあります。

さらに女性は、家庭内の意思决定や资产管理をあまり任されていません。

それでいて、人间としての可能性、社会や経済に対する潜在性の里付けとなる女性の実例は山のようにあります。

ジェンダーの平等が「スマート?エコノミクス」であると実証されています。

ジェンダーの平等が进んだ国では、贫困率も低い倾向にあります。母亲の手に収入が渡ると、子供の生存率ははるかに高まります。さらに一部の国では、农业投入资材の管理を女性に一层任せるようにするだけで、农业生产性が実に20%も増大する可能性があります。

但し、経済的潜在性だけの问题ではありません。私は、ジェンダーの平等が単なる资源ではなく権利であると信じています。

ジェンダーの平等は途上国だけの问题でもありません。世界各地で、女性の10人に1人が、一生の间に、パートナーや知人から性的暴行や身体的暴行を受けています。

「北と南」や「先进国と途上国」、「第一世界と第叁世界」などの昔ながらのレッテルは过去の歴史として葬ることができても、「彼ら対我々」の世界であることに変わりはありません。

これが「援助を超えた」世界とどう関係するのかと疑问に思う方もいらっしゃるでしょう。

一言で言うと、単に援助パッケージを提供するのではなく、政策を転换し、男女の差别なく万人にエンパワメントを行うことが求められます。

女性や女子への支援改善に援助を振り向ける、诊疗所や学校の建设、予防接种の実施、母子健康のためのサービスへのアクセスといったことは可能ですし、またそうしなければなりません。ですが援助だけでは十分ではありません。

我々が世界规模で男女平等の実现に取り组まない限り、また世界中の国、コミュニティ、家庭が女性の権利を认めて根深い不平等を変えて行かない限り、世界人口の半分を占める女性の潜在能力を100%引き出すことはできないでしょう。

女性に対し、土地所有権、事业の所有?経営および営业権、相続権、より高い所得能力、そして家庭内での资产管理能力を与えれば、子供たちの健康が改善され、女子の就学率が高まり、起业と経済生产性を向上させ、「援助を超えた」世界に一段と近づくことができるかもしれません。

これこそ、真の意味での开発の民主化といえるでしょう。

来週、世银は、ジェンダーの平等と开発をテーマにした「世界开発报告」を発表します。この研究に基づき、我々は以下を推进して行く予定です。

世银はこの5年间に女子の教育、女性の健康、そして与信、土地、农业サービス、雇用、インフラへの女性のアクセス支援に総额650亿ドルを提供してきましたが、こうした取组みをさらに强化します。これらは重要な取组みでしたが、必ずしも十分ではなかったり、业务の中心に位置していませんでした。

ジェンダーに関する分析と诊断を全ての国别援助戦略の主流に位置づけ、投资が女性に及ぼす影响を要因别に分析できるよう、さらに正确な指标の开発に力を入れると共に、例えば、资产所有率や信用?司法制度へのアクセスといったジェンダーに関するデータの数を増やし精度を上げるため、各国と协力して行きます。

男女间格差解消に世银との协力を望まない国については、対话やパートナーシップを通じて、また他の途上国での事例を引用することにより、このアジェンダの推进のため他の方策を模索していきます。

また、世银グループは干部におけるジェンダーの平等を、引き続き目标として掲げていきます。世银では副総裁以上のポストに女性が占める割合は51%となっています。

X 終わりに

4年前に世界银行グループの総裁に就任して以来、私は、国际协调主义を革新し、现在世界で起きている経済面の変化を正しく认识し反映させることの重要性を诉えてきました。

开発ソリューションの立案、実施、継続的改善において、先进国、途上国、东侧诸国、西侧诸国、贫困层、富裕层、男女の区别なく、あらゆる者が一翼を担えるようにするために、开発の革新が必要だと主张してきました。

また、世银グループのみならず、世界各国の政策においても、开放性、透明性、説明责任を重要课题として掲げることが必要だと诉えてきました。

さらに、市民のボイス、シビルソサイエティ、そして社会的説明责任への投资は、インフラ、公司、工场、农家への投资と同じように、开発にとって重要であることを认识するため、新たな社会的盟约の确立を主张してきました。

私はここまで、现下の経済の现実を适切に反映し、ステークホルダーの责任という概念に深く根ざし、民间セクターやシビルソサイエティのネットワークと紧密につながり、実际的な问题解决とイノベーションに力を注ぐ国际协调システムであれば、一时凌ぎではない繁栄を、庇护ではなく潜在性を、依存ではなく尊厳を重视する「援助を超えた」世界を実现できるかもしれないと説明を试みてきました。

このアプローチが急进的すぎると考える人もいるでしょう。そして、どういう訳か、先进国の援助コミットメント逃れにつながると考える人もいるようです。そうではありません。

このアプローチは、リスクが高すぎ、新しい金融手段や市场に一定の役割を与え、その结果途上国にトラブルを招くと主张する人もいるかもしれません。そうではありません。

また、このアプローチは、まだ时期尚早で、途上国は责任あるステークホルダーとなる用意ができていないと主张する人もいるかもしれません。

先进国と比べて、途上国の方が用意ができていないと言えるでしょうか。

今日既に、民间セクターの资金フローは政府开発援助を大幅に上回っています。既に一部のフィランソロピーによる寄付金は二国间援助を大きく上回っています。そして、新たなプレーヤーやドナーが既に、これまでの援助の世界を変えつつあります。

我々には「时代に见合った思考」が求められています。ブレトンウッズの大胆な国际协调主义者たちの洞察を踏まえ、现在の状况を见极めるための问いかけをし、将来に备えて行动をとることが必要です。今こそ、时代に乗り遅れず、责任を担い、过去に恋々とせず、未来を筑く时なのです。

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