原油安とロシアの景気减速が地域全体の成长见通しに影
ワシントン、2015年4月17日― ヨーロッパ?中央アジア地域(ECA)は、原油安とロシアの景気減速が域内の多くの国に重圧となる一方で、ユーロ圏は、低い原油価格に加え、緩やかな景気回復の恩恵を享受している。世界銀行グループによると、昨年は1.8%であった同地域全体の経済成長は、2015年にはほぼゼロになると見られる。経済報告の発表は、世界銀行グループと国際通貨基金(IMF)の春季会合が開催される中で行われた。
こうした成长の钝化は、原油安と、深刻な経済低迷により引き起こされたロシアの大幅な景気减速によるところが大きい。ロシアを除くと、同地域の2015年の成长率は2.8%になると见られる。
「ヨーロッパ?中央アジア地域の経済成长は依然として世界で一番减速の着しい地域であり、2015年はほぼゼロ成长になると予测される。こうした低成长见通しの大きな要因となっているのが、経済が低迷する石油输出国との贸易や送金、さらに石油の输出に大きく依存している域内东侧に位置する国々だ。また、ウクライナ纷争による地政学的紧张が、状况をより一层悪化させている。贫困世帯は、直接的には外国からの送金减少、间接的には输入価格の上昇、建设部门など非贸易财部门における雇用消失、厳しい财政状况下での社会保障等の减少といったマクロ経済面への影响から、打撃を受けている。その结果として、贫困率の上昇が予想される。」と、ローラ?タック世界银行ヨーロッパ?中央アジア地域総局副総裁は述べた。
「他方、ユーロ圏と强く结び付いている中央?南东ヨーロッパと西バルカンの国々は、纯输出高がさらなる増加倾向にある事の恩恵を受けている。ユーロ圏は、拡张的财政政策と原油安を背景に、小幅ながら景気回復が始まり、消费者と公司の信頼が回復しつつある。」と、同副総裁は続けた。
原油安と地政学的紧张の影响
ロシアの骋顿笔成长率は、2012年は3.5%、2013年は1.3%であったが、2014年はわずか0.6%であった。
今后のベースライン予测によると、ロシアは急速に景気后退に陥り、2015年はマイナス3.8%、2016年はマイナス0.3%に落ち込むことが见込まれるが、この予测は、原油安(50ドル~60ドルで推移)が今后も続き、地政学的紧张が直ぐには解消されないだろうという仮定に基づいている。
ロシアは、為替レートに柔软性を确保した事で(この1年间で40%近いルーブル安)、国际収支の危机を回避出来ている。また、需要と生产を输入に依存するのではなく、国内製品と输出へと転换するリバランシングが进んでいる。
ロシアの景気减速と石油価格ショックは、南コーカサス、东ヨーロッパ、中央アジアの国々に、原油安、国外からの送金减少、贸易高の缩小を通じて、直接?间接的に打撃を与えている。2015年の成长率は、南コーカサスと中央アジアで2014年の半减、东ヨーロッパ(ウクライナを含む)も更なる景気后退に陥ると见られる。
ユーロ圏との结びつきによる恩恵
欧州连合-中央?南东ヨーロッパ(贰鲍-颁厂贰贰)の国々は、2015年も2014年とほぼ同じ2.7%前后で成长すると见られる。ごくわずかな伸びにとどまったそれ以前の2年间(2012年は0.5%、2013年は1.2%)に比べると大幅な改善だが、潜在成长率には依然としてはるかに及ばない。失业率は多くの贰鲍-颁厂贰贰诸国でなおも10%以上が続き、消费の伸びも钝い。
西バルカンの経済成长は、纯输出高の伸びが投资や消费の减少を相杀すると见られるため、2014年の0.7%からわずかに上昇して、2015年は1.2%となると予测される。経済状况が依然として厳しい西バルカンは、新规融资を受けられず、不良债権も域内で最高の16%以上となっている。
トルコの成长率は、2014年に2.9%まで减速したが、2015年はわずかに上昇し3%になると予测される。
ユーロ圏に近いこうした国々は、量的金融緩和政策によるデフレの危機減少、原油安、工業生産拡大の兆し、さらには、ギリシャ財政危機やウクライナ情勢をめぐる先行き不安の副次的影響が少なくとも今のところ限定的である事などから、全体的に消費者と企業の信頼が回復しつつある。
今后に向けて
域内の多くの世帯の购买力低下を受け、贫困率は复数の国で上昇すると见られる。これは、近年の贫困率低下の倾向に逆行するものだ。石油输出国と国外からの送金に依存する国の贫困世帯は、通货安による输入価格の上昇、建设部门など非贸易财部门における雇用消失、厳しい财政状况の影响を受けている。ここから浮かび上がるのは、経済の新たな现実に早急に适応する必要性である。各国が、贸易财部门で新たな可能性をつかめさえすれば、贫困率の悪化を食い止める事が可能となる。
為替相场の调整は、国内のインフレ抑制のための慎重な金融政策と共に、域内东侧に位置する国々がグローバル市场で竞争力を取り戻すのに役立つだろう。贰鲍-颁厂贰贰诸国では、原油安とユーロ圏での金融缓和政策が、资本流入量の减少の影响や、高い债务水準、银行部门の脆弱性、地政学的紧张、ギリシャ财政危机といった依然残る悬念材料の缓和に今后も役立つはずだ。
「结论から言えば、各国は『新しい常态(ニューノーマル)』に対応するためリバランシングを进めており、その中で输出部门拡大の新たな好机をつかまなければならない。この倾向は特に石油输出国において顕着であるが、通货安と资本流入减少が见られる域内西侧に位置する国々においても同様である。こうした部门の拡大を可能にする键は、现在行われているビジネス环境改善のための改革にある。さらに、特にドルの影响が强い国では、安定した金融セクターとマクロ経済管理が不可欠である。リバランシングに必要な调整を先延ばしにすれば大きな代偿を払う事になりかねず、かえって里目に出る恐れもある。」と、ハンス?ティマー世界银行ヨーロッパ?中央アジア地域総局チーフ?エコノミストは述べた。