原油安が财政改革の机会に
シンガポール、2015年4月13日 – 東アジア?太平洋地域の経済成長は、原油安と先進国で続く景気回復の恩恵を受けはするものの、今年はわずかに減速するだろう、と本日発表された世界銀行の「東アジア?太平洋地域 半期経済報告」は指摘する。
东アジア途上国の経済成长率は、2015年と2016年には、2014年の6.9%をやや下回る6.7%になると见込まれる。中国の成长率は、2014年の7.4%から、今后2年间に约7%まで减速すると予测される。中国を除いた东アジア途上国の今年の成长率は、好调な消费者心理と原油安を背景に东南アジアの大国の坚调な内需が続くこともあり、0.5%ポイント上昇して5.1%となるであろう。ただし、モンゴルなど一次产物の输出を中心とするいくつかの小规模国の成长率は、より小幅な伸びとなるであろう。
「成长がやや减速するとは言え、东アジアは、なおも世界全体の成长の3分の1を占めている。これは、他の途上地域全体の成长の2倍に相当する。原油安は域内の多くの国に、又とない机会をもたらすだろう。内需を拡大するばかりでなく、政策担当者にとっては、歳入を増やし、公的支出をインフラ整备など生产的な使途へと転换させる财政改革を推进することが出来る。こうした改革は、东アジアの竞争力を高め、同地域が世界全体の経済成长の原动力であり続けるのに役立つだろう。」と、世界银行のアクセル?ヴァン?トロッツェンバーグ副総裁(东アジア?太平洋地域総局)は述べた。
世界的な原油安は今后も続くと见られ、カンボジア、ラオス、フィリピン、タイ、太平洋岛屿国を中心に、东アジア地域の多くの途上国が恩恵を享受するだろう。他方、マレーシアやパプアニューギニアなどの燃料纯输出国は、成长が钝り、歳入も减少するだろう。インドネシアの経済成长へのはっきりとした影响は、同国の石炭と天然ガスの输出量の下落度合いによって分かるだろう。
世界経済が直面する种々の逆风要因は、世界経済と强く结び付いた东アジア各国にとって引き続きリスクとなる。例えば、高所得国の回復には遅れとばらつきが见られる。また、ユーロ圏と日本で景気が后退すれば、世界贸易が弱体化するだろう。米国が利上げに踏み切りドル高になれば、先进国の金融政策の方向性はバラバラになり、借入コストの急上昇、ボラティリティの拡大、东アジアへの资本フロー减少を引き起こしかねない。さらに、米ドルが対主要通货で上昇を続ければ、カンボジアや东ティモールなど経済のドル化が着しい国に打撃を与えかねない。
「金融危机后、世界経済の回復が一様には进まなかった中でも成长を続けてきた东アジア?太平洋地域だが、同地域には、短期的にも长期的にも、数多くのリスクが解消されずに残っている。こうしたリスクへの対処で键を握るのは财政政策だ。原油安を受け、石油输入国と输出国はいずれも、エネルギー価格を见直し、より持続可能で衡平な财政政策を导入する事が望ましいだろう。」と、世界银行のスディール?シェッティ东アジア?太平洋地域総局チーフ?エコノミストは述べている。
东アジア地域では、急速に进む高齢化により、保険などの社会保障制度が既に影响を受け始めているが、域内の大国の大半は、歳入拡大と歳出再编を図ることで、より多くの资金を社会保障に向けられると共に、インフラ投资の不足分を埋める事が出来る、と同报告は指摘する。主要な燃料输出国とモンゴルには、财政再建が求められる。
特に原油安は、各国政府にとって、燃料补助金を削减し、エネルギー税を引き上げる好机となる、と同报告は指摘する。域内の大半の国々で、燃料补助金と関连する税支出が、公共财政を圧迫し、経常収支を悪化させてきた。インドネシアやマレーシアなど一部の国は、最近になって燃料补助金削减に踏み出したが、原油価格が再び上昇を始めても、この动きを持続?拡大していく必要があると、同チーフ?エコノミストは述べた。
中国は、投资主导型から消费主导型の成长モデルへシフトするに当たり、最大の课题は长期的に持続可能な成长を确保する改革の実施である。成长を促进する政策を実施し、再编の取组みを支えていかなければならない、と同报告は指摘する。
报告书は、域内各国は、中期的には、物的インフラを拡大?刷新すると共に、国民が高等教育や保健医疗を利用しやすくする必要があり、长期的には、継続的な生产性拡大、医疗コストの抑制、社会保障のための资金基盘拡大に向けた方策を见出していく必要がある、と指摘している。
「東アジア?太平洋地域 半期経済報告」は、世界銀行が同地域の経済を包括的にまとめた報告です。半年に一度発表され、解禁後はウェブサイト上で無料でダウンロードいただけます。http://www.worldbank.org/eapupdate.