贫困のない世界:手の届くところに
ありがとうございます。未来のリーダーを育てる优れた研究机関を访问することは常に喜びです。
本日は皆様に、将来について、そして、贫困と経済的疎外という汚点のない世界を构筑する机会についてお话したいと思います。
皆様に申し上げたいのは、このような世界は手の届くところにあるということです。ただし、それを実现するには、いくつかの难しい决断を下し、协力のやり方を変えなければなりません。
我々の目の前にあるこの歴史的な机会について理解し、歴史を変革するために我々が何をすべきかを理解するためには、世界の开発を取り巻く状况と中期的な展望について见ていくところから始めたいと思います。
世界の开発を取り巻く状况
まず指摘したいのは、过去4年半にわたった世界経済の危机は未だ明らかな収束の兆しを见せていないことです。ここ1~2年、実に多くの若い芽が出ては、结局はしおれてしまったので、将来の见极めは慎重にしなければなりません。昨今のキプロスの展开からも分かるとおり、危机に打ち胜ったと宣言するのは时期尚早です。その一方で、この先も道は平坦ではありませんが、我々が行ってきていることは间违っていないことを示す証拠も増えてきています。
欧州の市场は、昨年春から夏にかけての混乱と比べ改善しています。金融市场の乱高下を封じ込める欧州の指导者の断固とした取组みにより、多くのリスク指标は、ユーロ圏の财政持続可能性についての悬念が浮上する2010年初め以前の水準に戻っています。こうした改善は欧州の政策当局の功绩と言えますが、流动性を注入しても时间稼ぎになるだけで、问题の本质的な解决にはならない点を认识することが重要です。财政及び银行部门においては、さらに多くの难しい决断に迫られています。&苍产蝉辫;
実体経済においても、回復が进んでいるというかすかなシグナルがみられます。高所得国では、财政健全化が引き続き成长の制约となっていますが、それも峠を越えたと言えるかもしれません。ここ米国でも、住宅市场と労働市场の双方が改善しており、过去6か月间で100万人以上の雇用が生まれています。ただし、财政の壁をめぐる不透明感が解消した訳ではないことに留意しなければなりません。欧州では、今年の骋顿笔はマイナス0.2%となる见通しで、いくつかの难しい问题が2014年后半から2015年初めまで依然として残るでしょう。
途上国の経済の今后に目を向けると、见通しはより明るいと言えます。途上国全体では今年、5.5%の成长が见込まれ、2014年と2015年の成长率は、それぞれ5.7%、5.8%と一段と加速するでしょう。ダイナミックで竞争力に富んだ公司が、小さなスタートアップから多国籍公司にいたる様々なレベルで、途上国のいたる所で起业し、事业展开しています。
最近、中国の成都を访れたときにザン?ヤンという女性起业家に会いました。数年前、彼女は事业を立ち上げるという大きな梦を抱いていましたが、资金を得る手立てがありませんでした。しかし、地元の银行の女性起业家向け融资イニシアティブの下で1万ドルの融资を得ることができました。これは、世银グループのうち民间セクターを支援する滨贵颁のプログラムの一环で、彼女はこの资金で自动车修理业を立ち上げ、现在では従业员150人以上を抱える顺调な経営者となっています。今週末に彼女からメールが届き、叁轩目の修理工场を开く予定だそうです。また、これまでに良い仕事に就くチャンスのなかった女性たちを雇い训练することで、今后も社会的责任を果たしていくとのことでした。彼女は、世界中の野心的な数百万人の一人に过ぎません。彼らは、ビジネスで成功するチャンスさえ与えられれば、素早く掴みとり、さらに地元に雇用と机会を创り出します。
こうした民间セクターの成长は、开発を着しく加速させます。特に政府や国际援助机関、市民団体による贫困者向けの効果的支援策が组み合わさると、大きな効果があります。今日、极度の贫困は减少しています。1990年、途上国に暮らす人の43%が1日1.25ドル未満で生活していましたが、20年后の2010年には21%まで减少したと见込まれます。2015年までに极度の贫困を半减するというミレニアム开発目标(惭顿骋蝉)の一つ目の目标は、目标年より5年も早く达成されたのです。
社会セクターにおける进捗はさらに目覚しいものです。过去10年间に800万人のエイズ患者が抗レトロウイルス治疗を受け、マラリアによる年间死亡者の数は75%减少しました。学校教育から疎外されている児童の数は40%以上减りました。
我々は、今后も途上国の力强い景気を支える环境が続くと确信しています。とはいえ、高度成长が当然できると思ってはいけません。6%の成长率、まして危机前の好况时に多くの国が达成した7%や8%もの成长率を维持していくには、継続的な改革が必要です。例えば、各国は、教育の质やガバナンスの改善、ビジネス环境の整备、インフラの近代化、エネルギー?食粮の确保、金融仲介机能の强化などを続けなければなりません。
さらに、新たなリスクが浮上しています。特に、地球温暖化については、直ちに思い切った行动をとらなければ、これまでの开発成果の多くが覆されてしまう危険があります。
気候変动は単なる环境问题ではありません。それは、経済発展と贫困扑灭に対する根本的な胁威です。
世银グループの最新の报告书によると、直ちに温室効果ガスの排出を抑えなければ、地球の平均気温は今世纪末までに摂氏4度、华氏だと7度以上上昇してしまいます。
地球の気温が4度上がると、海面は実に1.5メートルも上昇し、3亿6000万人以上の都市住民が危険にさらされます。また、干ばつの影响を受ける地域は、现时点の世界の耕作地の15%から约44%に増大し、サブサハラ?アフリカが特に大きな打撃を被るとみられています。异常な気象现象は恐るべき频度で発生し、人命と経済に计り知れない犠牲をもたらすでしょう。そのとき、最も深刻な被害を受けるのは、気候変动に最も责任がなく最も适応力が小さい贫困层です。
中期的重要课题の二つ目は、格差の问题です。格差について触れると、ばつが悪い沉黙が広がることがよくあります。我々は、この困难ではあるが极めて重要な问题をタブー视して黙り込んでしまってはなりません。途上国が急速に経済発展を続けても、だからと言ってその成果を谁もが自动的に得られるわけではありません。贫困层に配虑した成长を确保することは、伦理的な义务だけでなく、持続可能な経済开発の不可欠な条件でもあります。
过去10年间に剧的な前进があったとはいえ、世界ではまだおよそ13亿人が极度の贫困状态にあり、毎日8亿7000万人が空腹をかかえ、毎年690万人もの子供が5歳までに死亡しています。
さて、开発をめぐる世界の状况をざっと见てきましたが、どのような结论が导き出せるでしょうか。世银グループの业务にとって大きく2つの意味があると思います。
极度の贫困をなくすために
まず第一に、今こそ我々は极度の贫困をなくすことに本気で取组むべきです。我々は今、歴史上またとない好机に恵まれています。今、途上国は过去数十年にわたる开発の成果と、経済的见通しの好転という2つの要素により、一世代で极度の贫困をなくすチャンスを得ています。今、我々に课された责务は、こうした望ましい环境の下で明确な目标を掲げ、断固たる行动をとることで、この歴史的な机会を実现することにあります。
しかし贫困はそう简単になくなる訳ではありません。この目标に向かう作业は时间とともにますます困难となるでしょう。それは、最后まで贫困状态にいる人ほど支援の手が届きにくい人たちだからです。
その一例が、インドのウッタル?プラデシュ州など、新兴国の人口过密地域に住む人々です。先月、私はこの地域を访问しました。世界の最贫困层の8%を占めるこのウッタル?プラデシュ州の住民には、インフラの改善、労働力に适した人材を育てる教育制度の强化、そして女性など脆弱层の労働市场への一层の参入など実に多くの施策が必要です。
また贫困の罠から抜け出せない人々には、纷争と社会的脆弱性の悪循环の下で暮らす人々もいます。贫困层のうち脆弱国や纷争の影响下にある国に住んでいる人の割合は大きく、その比率はますます高まっていますが、このような地域では开発のニーズとともに开発を妨げる障害も极めて大きいのです。脆弱国は、极度の贫困をなくすという课题の最优先地域とすべきです。
脆弱国の开発は困难ですが、私が3週间前にアフガニスタンで目にしたように、革新的なアプローチによって成果は生まれます。例えば世银は、骋笔厂搭载のデジタルカメラ付き携帯电话を地域の灌漑プロジェクトのモニターに使えるよう、アフガニスタン人ボランティアに训练を行って、自己责任(オーナーシップ)意识を高めています。现在、彼らが撮影した写真と报告书は毎日、世银カブール事务所に送られています。このカメラには、ジェームズ?ボンドも欲しがったであろう机能が搭载されています。それは、プロジェクト関係者が検问所でひっかかった场合に、写真や报告书などすべてのデータが一斉削除される机能です。アフガニスタンでは、依然としてセキュリティ上の问题や腐败が残っていますが、今日、多数の公司が资源、エネルギー、运输の各分野で投资机会を探っています。国际空港には多くの民间航空机が乗り入れるなど、10年前と比べると着しい変化です。またこの国の国会议员の27%は女性で、これは过去との一层大きな违いです。
アフガニスタンにおける国際協力の経験は、脆弱国における業務がリスクの高いことを示しています。しかし、国際社会と現地の自治体との連携した努力によって画期的な成果を上げる例も増えています。世銀は、安全保障、政治的安定、そして経済開発をいかにして達成するか教訓を集めています。来月、私は潘基文国連事務総長とともに東アフリカのグレートレーク地域を訪問し、これらの教訓をより幅広く実務で生かす協力を進めていきます。 ここで申し上げたいことがあります。脆弱国や紛争の影響下にある国で長い間職務に就いてきた私にとって、こうした国々で今後世銀グループの業務を強化していくことは最優先課題の一つなのです。
繁栄の果実を全ての人に
极度の贫困のない世界を目指すに当って、実は我々のもう一つの教训として、极度の贫困と闘うだけでは不十分だという点があります。我々が力を合わせて、世界中の全ての脆弱层が贫困ラインをはるかに上回るよう支援しなければなりません。世银グループでは、この平等についての取组みこそが、繁栄の果実を全ての人が分かち合うという世银の使命の中核をなしています。
私が过去9か月间に繰り返し耳にした通り、世界各国の先见の明のある政策担当者は、格差の问题及び贫困层が成长から疎外される恐れについて悬念しています。
彼らの课题は、1日1ドル、2ドル、あるいは10ドルで暮らす自国の脆弱な市民のために経済的机会を作り出すこと、贫困者や比较的弱い立场にある人々の住む地域で成长を実现すること、极度の贫困から脱け出したばかりの人々が中产阶级に达するのに必要なものが手に入るよう支援すること、そして、过去数十年の开発の成果を、社会的にも财政的にも、环境的にも持続可能なものにすることです。
1月にチュニジアを访问した际、「アラブの春」运动の最前线にいた市民社会の指导者と会いました。彼らのメッセージは明确です。繁栄の果実が広く行き渡らないのならば、また繁栄が女性や若者を中心とする全ての人々の関与した开発プロセスの上に构筑されたものでないなら、紧张は再び高まり限界に达するかもしれません。
繁栄の共有はまた、个人やコミュニティ、国の间だけの问题ではなく、世代を超えたものでなければなりません。気候変动を抑えるため直ちに行动を起こさなければ、子供や孙の世代には、地球は変わり果てた姿となっているでしょう。
世银グループは现在、気候変动への介入を大幅に强化した新たな戦略を策定し、紧急かつ大规模な行动を世界のパートナーとともに起こす起爆剤になろうとしています。これに伴い、数々の大胆なアイデアを検讨中です。例えば、炭素市场を支援し纠合する新メカニズム、化石燃料への补助金を打ち切る政治的に実施可能な计画、気候変动に适した农业への投资拡大、环境に配虑した都市建设のための革新的パートナーシップなどです。さらに、気候変动への対応という喫紧のニーズを世银の全プロジェクトに反映させるべく、各セクターでの业务见直しを进めています。「世界の気温の4度上昇」は、きちんとした计画を基に、直面する问题の大きさに匹敌する対応を一丸となって行えば回避も可能です。これまでの気候変动への取组みは、小规模かつ近视眼的であり、连携に欠けていたと私は考えます。もっと改善できるはずです。
世银グループの指针となる2つの目标
それでは、极度の贫困をなくし、全ての人に繁栄の果実が行き渡る机会をとらえるために、世银グループがどのように动いているかもう少し详しく话しましょう。
我々は、世银の戦略の指针となる2つの目标を定めました。目标と言っても、世银グループ自身の目标ではありません。世界の开発コミュニティ全体の支援の下で、我々のパートナーである188の加盟国に达成してもらう目标です。
第一の目标は2030年までに极度の贫困のない世界をつくることです。极度の贫困をなくすことが见えてきた今、野心的な期限を设定して集中力と紧张感を维持したいと思います。
2030年という期限は极めて野心的です。无理だろうとお考えの方がいらっしゃれば、25年间で絶対的贫困を半减するという一つ目のミレニアム开発目标を思い起こしてください。2030年までに目标を达成するには、贫困をまず半减し、さらに半减し、さらにもう1度ほぼ半减する――これを一世代のうちに达成しなければなりません。各国がこれを実现できれば、絶対的贫困は全体の3%以下になるでしょう。我々のエコノミストがこうした目标を设定したのは、絶対的贫困が3%以下になると、贫困削减の意味がどこにおいても根本的に异なったものになるからです。取组みの焦点が広范な构造上の措置から、特定の贫しい人々への散発的対応にシフトします。
我々は、この目覚ましい结果を达成するために3つの要素が必要になると考えています。&苍产蝉辫;
第一に、この目标を达成するには、过去15年间の成长のペースを加速する必要があります。特に南アジアとサブサハラ?アフリカでは持続的な高度成长が必要です。第二に、贫困层への配虑と格差の抑制にさらなる力を注ぐこと、特に雇用创出を通じて、成长を贫困削减につなげることが必要です。第叁に、极端な気候による灾害や、新たな食粮?燃料?金融危机など、将来あり得べきショックを回避または軽减しなければなりません。
これらの目标を実现するには财源が伴わなければなりません。今年、世银グループは、81の最贫国を支援する基金である国际开発协会(滨顿础)の増资について、パートナーと交渉に入っています。滨顿础の支援の下、これまでに数亿人が极度の贫困から抜け出してきました。十分な滨顿础増资を确保することは私の最优先事项の一つです。
2030年までに目标を达成するには大変な努力が必要です。ですが、それだけの努力の甲斐があることに疑问をさしはさむ人などいるでしょうか。1日1.25ドル未満で暮らしたことのある人の中に、今が极度の贫困のない世界をつくるときだという私の主张に同调しない人がいるでしょうか。ヨハネスブルグやアディス?アベバ、ダッカ、リマの贫民街を目にしたことのある人で、そこで暮らす全ての人々がより良い生活を送れるよう支援しようとしない人がいるでしょうか。本日、この会场の皆さんの中に、我々全员の良心からこの汚点を払拭したいと望まない人がいるでしょうか。
とはいえ、极度の贫困を扑灭するだけでは不十分なことも我々は承知しています。そこで二つ目の目标として、各国で所得の下位40%の人々の所得を引き上げることにも努めなければなりません。
所得の下位40%の人々への取组みの中には、繁栄の共有における2つの要素が含まれます。まず、経済成长には、衡平の観点が求められています。そして、ただ単に途上国経済の成长だけを心配するのではなく、社会の最贫层がより豊かな暮らしを営んでいるかどうかを直接検証することが求められています。これは、全ての国にとって重要な目标です。
世银の业务は、贫困国を重点対象としていますが、それは必ずしも国に焦点を当てているものではなく、贫しい人々が焦点となります。
これは困难な作业ですが、无理ではありません。つい最近ブラジルを访れましたが、キメ细かく策定された公共政策が所得格差を着しく缩小できることを目の当たりにしました。ブラジルは、教育アクセスの拡充に加え、特に贫しい人々の所得を向上させる条件付き现金给付プログラムを実施しています。他の国々も、成果が実証済みのこうした戦略を自国の事情に合わせて导入することにより、格差解消に取组むことができます。成功は拡散が可能です。
世银グループは、少なくとも4つの形で、贫困をなくし、繁栄の果実を広く人々に浸透させようとする各国の努力を支援していきます。
第一に、我々は、竞合するプロジェクトの中から优先顺位をつけるに当たり、これらの目标に照らして、最もインパクトの高いものを选びます。これらの目标は、世银がパートナー国ごとにその目标を定めた「国别パートナーシップ戦略」の策定に大きく贡献します。
例えば、来週、これら2つの目标を念头に策定された初の戦略であるインド国别パートナーシップ戦略を理事会に提出する予定です。インドは、贫困のない世界をつくる上で圧倒的に大きな贡献ができます。インドでは、过去5年间でおよそ5000万人が贫困から脱け出しました。次の世代では、一丸となって努力すれば、极度の贫困からさらに3亿人が抜け出せる可能性があります。
第二に、世银は、贫困扑灭と繁栄の果実の共有というこれらの目标に向けた进捗を绵密にモニターし、何が达成され、何がまだ达成されていないかを毎年报告していきます。
第叁に、世银が持っている世界の関係者の意见を集め発信する力によって、これらの目标の実现に何が必要かを政策当局や国际社会に継続して知らせていきます。
最近、ブラジルのジルマ?ルセーフ大统领やマラウィのジョイス?バンダ大统领など多くの勇気ある政治家が自国の贫困扑灭を公约しました。同様に、バラク?オバマ米大统领やデービッド?キャメロン英国首相も、极度の贫困のない世界というビジョンを支持しました。こうした果敢な呼びかけには行动が伴わなければなりません。世银グループは妥协のない诚実なパートナーとして、これらの政策当局が贫困层に対する约束を履行するよう、求め続けます。
第四に、我々はパートナーと协力して、贫困のない世界と全ての人々に繁栄の果実が行き渡るソリューションに関する知识を分かちあっていきます。
各国が开発目标を达成するには、健全な政策と十分な资金が必要です。しかし、「デリバリー」を改善すること、すなわち、実际に成果を上げるため现场でいかに政策を実施するかも肝要です。
各国は、デリバリーの改善のため、ますます世银グループの支援を求めるようになってきています。例えば、児童の就学数は记録的となったものの、学力テストの结果、5年生でも読み书きができない生徒が余りに多いといった课题があります。せっかく卫生设备や道路、桥の新设が承认されても、その后何年経っても完成されないという课题もあります。これらはいずれもデリバリーの失败であり、多くの国にとって、开発を进める上で最大の障害となっています。
我々が各国やパートナーと协力して、「开発のためのデリバリーの科学」を确立しようとしているのはそのためです。この新しい研究分野が成长すれば、开発の最前线にいる実务家には、知识とツール、支援ネットワークを提供することができるでしょう。また、世界各地で同じ课题に取组む人々を结びつけ、リアルタイムで问题の解决を助けてもらえるようにもなるでしょう。最近の例を挙げると、グルジア共和国で电力网の近代化に取り组む技师が类似の问题を解决したチリの技师から助言を受けることができました。
こうした繋がりを体系的に実现すれば、デリバリーの科学は、世银グループ内外にいる问题解决の専门家がもたらすインパクトを何倍にも拡大することができるでしょう。例えば、モンゴルの游牧民50万人に太阳光発电を提供する方法について模索する人や、地震后のコスタリカの村で復兴を助ける人、さらには、东アフリカで课题の鉄道再建のための融资パッケージを作成する人など、开発の最前线で働く人たちです。
デリバリーの科学というこの新しい分野を进めながら、我々は、パートナーたちが互いに学び、贫困のない世界と全ての人々に繁栄を行き渡らせるために投入された资金が1セントの无駄なく最大の成果を上げるよう支援していきます。
终わりに:子供たちにどのような世界を引き継ぐのか
最后に指摘したいのですが、今週の金曜日は、8つのミレニアム开発目标(惭顿骋蝉)全ての达成期限である2015年末までちょうど1,000日前となります。惭顿骋蝉の进捗には目覚しいものがありますが、それでも地域や国によってもばらつきがあります。我々は、この最后の1,000日间に、子供たちやその家族の生活を向上するために、これまでよりはるかに大きな紧张感をもって行动しなければなりません。
取组みを强化する一方で、次の活动や、どうすれば将来にわたってぶれることなく焦点を维持していけるかについても検讨しなければなりません。世银グループはパートナーとともに、ポスト2015年の意欲的なアジェンダ策定に取り组んでいます。私は今週末にマドリッドを访れ、潘基文国连事务総长のリーダーシップの下、全ての国连机関の代表者との会合に出席する予定です。最后の1000日间の进歩を加速させるには、国际机関としてどのような协力が可能かを具体的に検讨するためです。
しかし、我々は全员、前途に立ちはだかる问题は膨大であり、进歩が当然起こるものではないことを承知しています。今月でちょうど50周年となるアフリカ系アメリカ人の公民権运动の际の出来事を思い返すとき、この点を再认识させられます。
1963年4月、マーティン?ルーサー?キング牧师は、アラバマ州バーミンガムで、现地の警察当局に対して人种差别待遇廃止に向けた改革の加速を求める大规模な抗议デモを主导したとして逮捕されました。当时、公民権运动を支持していた穏健派の白人宗教リーダーたちは、この抗议デモをキング牧师の「过激な」戦法と称し、认めませんでした。逮捕の当日、穏健派牧师のグループは、思虑ある人々は谁もが、アフリカ系アメリカ人がいずれは公民権を获得するとわかっているのに、キング牧师は时が熟す前に変化を无理强いしようと「分别に欠け、时宜をわきまえない」行动に出たとする书简をバーミンガム?ニュース纸で公表しました。これに対しキング牧师は「バーミンガム刑务所からの手纸」の中で、白人穏健派のこうした姿势は、时间が経てば「当然」进歩がもたらされるとする「悲剧的な思い违い」を反映していると指摘しました。キング牧师の言叶を引用すると「人类の进歩は决して、「当然」の车轮に乗って进むのではない。男性、そして女性の辛抱强い努力を通じて実现する」のです。
不公平は「当然に」消えてなくなるわけではありません。キング牧师は、不公平は、「その时の紧张感」をバネにした「强力で、粘り强く、断固たる行动をもって根絶」しなければならないと述べています。
我々が、世银の目标、すなわち、贫しく弱い立场の人々への支援强化のためにともに行动する目标を设定するに当たり、キング牧师の例をもう一度考えてみるべきです。
我々は、何も当然には発生しないからこそ、目标を设定します。外部の障害に取り组むためだけでなく、我々自身の无気力に挑むためにも目标を设定します。そして、我々は、「その时の紧张感」を维持し、常に自らの限界を超えいくため、目标を设定します。さらには、いずれも贫しい人々の宿敌である运命论にも満足感にも陥らないよう、目标を设定するのです。
我々は、毎日、毎时间、自らの行动が最も重大な価値観と一致するよう、目标を设定します。歴史の判定を前に、耻じることなく肯定できる価値観です。
我々が今日行动を起こせば、そして、极度の贫困をなくし、繁栄の果実を全ての人々に行き渡らせるという目标に向かって饱くなき努力を重ねれば、格差の着しい世界ではなく、机会に恵まれた世界を子供たちに残せる可能性があります。あらゆる家庭がクリーン?エネルギーにアクセスできる持続可能な世界、そして、谁もが十分な食粮に恵まれ、谁も予防可能な疾病で命を落とすことのない世界。贫困のない世界です。
子供や孙に、そして未来の全ての世代に残したいと、谁もが望む世界です。
キング牧师も言った通り、「正しく行动するための机は常に熟してい」ます。机会はまさに我々の前にあります。歴史の弧をつかみ、正义に向けてその方向性を変えることは可能だし、我々にはその义务があります。
ご清聴ありがとうございました。