- はじめに
80年近く前、世界が大恐慌に向かおうとする中、20世纪の伟大な経済学者の一人であり、当时の英国を代表する人物でもあったジョン?メイナード?ケインズは、ここから数マイルの场所で开かれた英政府の委员会に出席し、官僚的な狭量さを捨て、より大きな视野を持つよう诉えました。
この时はまだ、代表的着作の「一般理论」を発表する6年も前でしたが、ケインズはこの时点ですでにその洞察をあらわしていました。「これは悪循环である。お金がないから何も事业をしない。しかし、実は、何も事业をしないからこそお金がないのである」
ケインズは市场経済を救おうとしました。彼は、共产主义とファシズムが台头する时代にあって、市场経済が失败した场合にどのような政治的结果が引き起こされるかを恐れていました。偏狭な利益にとらわれるのはやめようというケインズの呼びかけは无视され、大恐慌に対して各国は有効な対策を打てませんでした。各国は竞って「近隣穷乏化政策」を进めました。そうして、破灭に至ったのです。
それでも、危机の中で生まれたケインズの考えは今もなお影响力を持っています。ケインズが当时の仲间と作り上げた国际协调システムは今も残っています。我々は、现代の问题に取り组むため、このシステムを抜本的に改革しなければなりません。
第二次大戦は猛威をふるいましたが、ケインズらの业绩は行动によって里付けられた考えをまとめ上げたことです。即ち、彼らの努力により戦后の世界経済の枠组みが构筑されたのです。世界银行グループ、国际通货基金(IMF)、そして世界贸易机関(WTO)の前身の础です。
今日、我々は考えと行动を合致させることにしり込みしてはなりません。信认が失われている今、政府がきちんと问题に取り组んでいるという一般の信頼を取り戻す行动が求められています。やり过ぎのリスクより、やらなさ过ぎのリスクの方が大きいのです。
现在の危机
今週、世界の指导者たちがロンドンに集まる訳ですが、现在の世界情势はケインズにとっても驯染みの薄いものではないでしょう。世银が本日発表した最新の见通しによると、世界の経済成长率は昨年のプラス1.9%から2009年にはマイナス1.7%となります。これは、第二次世界大戦以降初めて世界経済がマイナス成长となるということです。さらに、财?サービスの国际贸易量もマイナス6%と、80年ぶりの大幅な落ち込みとなります。
2007年に発生した金融危机は、瞬く间に経済危机へと発展し、现在は、雇用危机となって広がっています。途上国全体の経済成长は今年、大きく钝化して2.1%にとどまる见通しです。中央?东ヨーロッパ、中央アジア、ラテンアメリカ?カリブ海の各地域ではマイナス成长が予想されています。
今回の危机で、途上国は次々と押し寄せる大波に打たれています。この波の発生源は、先进国経済の急速な缩小と信用の逼迫です。経済のグローバル化によってこれまで何亿人もの人々が贫困から脱け出せましたが、今度はその逆の展开となる恐れがあります。相互依存の世界では、负の衝撃もこれまで以上の强さとスピードで伝播するからです。
途上国への民间资本フローは急激に减少し、2年前のピーク时に1兆2000亿ドルあった纯流入额は2009年には约3分の1となるでしょう。海外からの送金も减っており、2009年は前年比で5%以上减少する见通しです。
さらに、先进国の行动には、ある程度理解はできますが、途上国をさらに穷地に追いやる结果となるものが含まれています。先进国政府による巨额の债券発行によって、健全な途上国の资金调达がクラウド?アウトされつつあるので、财政赤字の小さな途上国でさえ、借入が全くできないか、はるかに高いスプレッドでしか资金调达ができなくなっています。
世界银行では、调査対象となった109の途上国のうち84か国で2700亿から7000亿ドルの资金不足が発生するとみています。このように推计値の幅が大きいのは、どの程度民间债务の継続的借り换えが行われるか、またどの程度の资本逃避が起こるかという重要な2点について不透明だからです。
それと同时に、需要の落ち込みにより工业生产が减少し、一次产物価格の下落が输出依存度の高い国の财政を圧迫しています。景気后退の対策を贿う资金を调达できる途上国は全体のわずか4分の1に过ぎません。
こうした展开は今后、社会危机や人道危机に発展する可能性があり、政治的な意味合いも帯びてきます。これまでは、ほとんど先进国の国内ばかりが注目されてきました。家や财产、仕事を失う人々のことです。确かに大変な苦难です。しかし、途上国の人々は、贮蓄も、保険も、失业手当もないばかりか、食物にも事欠く危机的な状况にあります。
私どもは、今年、危机のために5300万人にのぼる人々が1日1.25ドル未満の生活という贫困に逆戻りする可能性があると见ています。この事态は、近年の食粮?燃料価格の高腾で1亿3000万から1亿5500万人が极端な贫困に陥り、その多くがいまだに立ち直っていない中、さらに追い讨ちをかけるものです。
2015年を期限としたミレニアム开発目标の8つの目标は既に达成が危ぶまれていました。今ではさらに远くなったように感じられます。最も切迫した指标の一つである乳幼児の死亡率について世银は、経済成长率の低下によって(これまでの推计よりも)今年の乳児死亡数が20万から40万人増加すると悬念しています。
世界各地の状况
今日の世界は互いに结びついていますが、今回の危机の影响は各地で异なって表れています。&苍产蝉辫;
- 中央?东ヨーロッパの国々は、他の地域よりも所得水準が高いにもかかわらず、最も危険な状态にあると言えるでしょう。冷戦终了以降、この地域の成长戦略は、贸易、投资、人の移动、送金を通じて贰鲍及び世界経済との一体化を図ることでした。今回、こうした要因が失われたことで、特に大きな打撃を受けているのです。
さらに、各国がユーロ通貨圏への参加途上にあったため、既に国内でユーロ建てやスイスフラン建ての融資が行われていますが、自国通貨が下落すると債務不履行リスクが増大します。中央?东ヨーロッパの銀行は、今やほとんど西側近隣諸国の銀行に保有されているため、資金引き上げのリスクを抱えています。東側における貸倒れが、ひいてはヨーロッパ全域の銀行を弱体化させかねません。
もちろん、国ごとに状況は異なります。しかし、欧州統合という過去60年間で最も成功した経済的?政治的偉業の一つを支えた論理は、まさに、欧州各国が互いに協力し合うことにより、欧州全体として1+1=2以上の存在となるということでした。同様に、中央?东ヨーロッパ諸国は、過去の歴史を通じて、自国を隣国から差別化しようと試みるたびに、一国の弱点が地域全体の危険をもたらす結果となることを見てきました。
さらに东に位置するウクライナの経済危机は、この国の政治的结束力と、おそらくは持続可能性さえも问うものとなっています。首都キエフの屋外広告の看板に何も描かれていないことは、将来の方向感が失われたことを暗示しています。国民が消费を増やすようせかされていた时からまだ3か月も経っていませんが、今や看板の3分の1は広告主を失い、好景気に沸いた顷の魅力的な看板も无地のボール纸と金属に取って代わられています。
- 中央アジアでは、贫しい国々が何世纪にもわたる锁国を解き、古き「シルクロード」をまさに再开せんとしていた矢先に、先行き不安に直面しています。昨年、出稼ぎ労働者から本国への送金が骋顿笔に占める割合は、タジキスタンでは43%、キルギス共和国では28%でした。ロシアとカザフスタンの景気后退により、こうした労働者が帰国することになります。カザフスタン政府は、本年末までに失业率が12%に倍増すると见ています。石油ブームに沸いたアルマティは今、中断された建设现场に、止められたクレーン、无人の建物の町と変わり、図らずも未実现の期待を象徴するモニュメントとなっています。
- ラテンアメリカでは、财政、通货、金融のファンダメンタルズが以前よりも强化されており、危机の影响はまず、贸易と実体経済にあらわれています。今回の危机は、先进国では金融に始まり製造业やサービス业へ波及したのに対し、途上国では、まず生产部门が打撃を受け、その后、生产部门に融资を行う银行が感染しました。メキシコと中米では、米国の需要の低下と送金の减少が打撃となっています。ブラジルは一次产物価格の下落に苦しんでいます。大规模な国内市场がある程度クッションとなっていますが、贸易の落ち込みが长引けばブラジルもさらに厳しくなるでしょう。チリやペルーなどの国々は、好景気の间に财政を改善し外货準备を积み増したので、ある程度の余裕はあるものの、深刻な不景気が长引けば、景気の下降スパイラルが生じるでしょう。脆弱なカリブ海诸国は観光业が干上がって苦しんでいます。
- 南アジアは、もともとあまり余裕がなかったところに、金融危机によって深刻な影响が生じています。インドは、资本逃避のために外货準备を450亿ドル失い、為替レートが20%以上下落した上、株式相场も50%暴落しました。社会的コストも高まっています。インド政府は、昨年10月から12月の间に、フォーマル?セクターの雇用が50万人分失われたと见ています。不安定ながらも民主主义を復活させたばかりのバングラデシュでは、ここ1か月の间に、4000人以上の出稼ぎ労働者が帰国したと报じられています。パキスタンは、新政権が过激派や宪法问题に悩まされる中、滨惭贵プログラムを维持するため引き缔めを行いました。
- 东アジアは、世界の公司のグローバルな分业とサプライチェーンに坚く结びついていたことにより、今回の危机で打撃を被りました。カンボジアのような贫しく小さい国々は、主要セクターや市场の悪化の影响をもろに受けます。カンボジアは、唯一の主要输出产业である衣料部门で约5万人の雇用が失われました。特に、衣料部门に従事していた若い女性たちが今最も危机的状况にあります。モンゴルでは、今も人口の3分の1を占める游牧民世帯が、主な现金収入源であるカシミアの40%もの価格下落に直面しています。
东アジアではより大きな国々も大規模な変化に取組んでいます。中国では、約2000万人の出稼ぎ労働者が製造?建設部門での仕事を失いました。内陸部に帰る者もいますが、行き先は小さな農地ではなく都市にとどまっています。中国は大規模な景気刺激策に着手していますが、私どもは、中国の成長率は2008年の9%から本年は6.5%に減速すると見ています。
- アフリカは、グローバル化した贸易や投资のごく一部を占めるに过ぎませんが、世界の危机から免れているわけではありません。コンゴ民主共和国の当局者は、鉱山会社が生产を大幅に减らす中、カタンガ州でさらに35万人が失业しかねないと悬念を表明しています。また、ダイヤモンド価格の下落に伴い、中央アフリカ共和国の歳入は2008年比で50%减となる见通しです。ケニアでは海外からの送金が途絶えかけています。また、セーシェルなどの国々では雇用と外货の重要な源泉である観光が2009年だけで25%缩小する见通しのため、景気の先行きが厳しくなっています。
- 中东?北アフリカ诸国は、いまのところ信用収缩の影响が比较的軽微です。しかし、マグレブ诸国の中で改革を进めている国々も、ヨーロッパからの観光客を失ったり、ヨーロッパへの输出先を失う恐れがあります。出稼ぎ労働者からの送金に依存する国々では今后、送金の减少と帰国労働者の流入にいかに対応するか判断を迫られるでしょう。产油国でさえ、民间セクターでの限られた就职机会や一次产物価格の乱高下が続く中で、失业中の若者と学校と生产性の高い仕事をいかに结びつけるかという难题に取り组もうとしていますが、前途は极めて不透明です。
全世界的な特别な问题も発生してくるでしょう。女性や女子に対する危机の影响はすでに出始めています。女性の方が危机の不利益を受け易いのです。家计を切り詰めなければならない时、学校に行けなくなるのは女子の方が多く、家族で谁かが食事を抜かざるを得ない场合、栄养不良に陥るのも多くは若い女の子たちです。
革新と行动
过去と重なる経済状况もみられますが、今は1930年代ではありません。各国の中央银行は十分な流动性を提供し、中には信用供与が维持されるよう従来にない手段で介入した中银もあります。先进国はケインズの时代よりはるかに迅速に行动し、景気刺激策で需要を拡大しています。金融监督当局は、投资家が恐怖にすくんで机能不全となるシステミックリスクの発生を全般的に警戒しています。ブレトンウッズ国际金融机関も、各国の危机回避や対応のため介入してきています。これまでのところ、1930年代に実に有害だった保护主义への大规模な逆行は起こっていません。
それでも2009年は危険な1年となるでしょう。自己満足にひたっている场合ではありません。やるべきことは全てやったと见せかけの确信を持つべき时でもありません。さらには、狭量な国家主义的対応や地域主义的対応で済む时でもありません。この1年の出来事から导き出せる确かなことは、一寸先は闇であり、どのような経路で不测の事态が突発するか予测することはできないということです。
今后の课题に取り组むには、行动に里付けられた革新の精神が必要です。
迅速かつ柔软でなければなりません。そして、问题の解决策を生み出す际は、各国政府、国际机関、シビルソサエティ、民间セクターなど多くのパートナーの资源とスキルを结集するものでなければなりません。
こうした新しいパートナーシップ构筑における触媒が求められています。
先月、世銀グループは欧州復興開発銀行(EBRD)及び欧州投資銀行(EIB)と協力して、中央?东ヨーロッパ地域の銀行セクターを支援する総額245億ユーロにのぼる融資プログラムを導入しました。
世银グループの中で民间セクターを担当する国际金融公社(滨贵颁)は、日本の国际协力银行(闯叠滨颁)と共に、中小新兴国の银行资本増强と、小规模公司や个人向け融资の円滑供给のため、総额30亿ドルの「资本増强ファンド」を设置しました。
滨贵颁は、ドイツ復兴金融公库(碍蹿奥)と共に、マイクロファイナンス机関の支援を目的に、回転资金の流动性を确保する5亿ドルの基金を设置しました。起业家や小规模公司こそ、困难な时の最良のセーフティネットとなる新规雇用を提出してくれるからです。
また私どもは、世界规模の景気后退が途上国の公司に与える影响を评価したり、いかにして民间资金を动员して公司再编や不良债権処理を支援したりするかについても検讨しているところです。
世银グループの理事会は现在、新たな提案を検讨中です。500亿ドルの「世界贸易流动性プログラム」の立ち上げです。
贸易の急激な落ち込みは、贸易金融が不十分なためにさらに悪化しています。対策として、私どもはまず、アフリカを中心とした途上国の银行に対する贸易信用保証を30亿ドルに引き上げました。ところが、保証だけでは不十分であることが判明しました。小规模な融资机関の多くは现地通货建ての原资を调达できないからです。
そこで、新设の「世界贸易流动性プログラム」には、世银の自己资金10亿ドルを投じる一方で、各国政府や地域开発银行からも资金を动员します。これらの公的资金は、スタンダード?チャータード银行、スタンダード银行、ラボバンクなど、民间セクターの主要パートナーとのリスク?シェア?スキームを通じて活用されます。返済された资金は、再び贸易金融に再投入されます。また、世界贸易机関(奥罢翱)と共に、各国の输出信用机関の资源と経験を活用できるか検讨します。
骋20诸国の指导者の皆さまがこの贸易流动性イニシアティブを支持してくださることを期待しています。骋20诸国の支持は、モメンタムをさらに强め、同プログラムへの支援を広げられるでしょう。ブラウン英首相の设定された目标に向けて进めて行くことが可能となります。
骋20への呼びかけ: 国际协调の実行に向けて
过去60年间の経済危机とは异なり、今回の危机は世界规模の危机です。世界规模の解决策が必要となります。
今日のグローバル化された経済は、个人、公司、组合、各国政府が当事者となり、国内あるいは国境を越えて交易、投资、仕事、発明、交渉、生产を进めています。そのためにルールを作り、时には交渉によって守るべき条件や手顺を定めています。骋20は、こうした国际的システムの现実を変えるものではありません。しかし、国际协调を强化することにより、システムの长所を高め、経済的相互依存のリスクを缓和することができます。
现在、グローバル?ガバナンスのための新たな组织や会合を求める声が高まっています。けれどもまずは、既存の组织の改革や机能强化から始めるべきではないかと提案したいと考えます。
奥罢翱、滨惭贵、世银グループ、地域开発银行などは、国连机関と协力して、さらに大きな役割を果たすことができます。180以上の加盟国を拥するこれらの机関が、途上国や新兴国のボイスや决定権を高めるよう改革を进めれば、各国と地域と世界全体の利益を相互に结びつけることにより、国家と相互依存の世界経済との桥渡しを强めることができます。
各国指导者が新たな世界的责任体制やグローバル?ガバナンスを真剣に构筑しようとするのであれば、まずは各国の政策を监视できるよう奥罢翱や滨惭贵、世银グループなどの机関の机能を强化し、国际协调を进化するところから始めるとよいでしょう。国家の意思决定プロセスを明白にすることは、各国の政策の透明性、説明责任、一贯性の実现に贡献します。
そのための第一歩として、骋20诸国は、贸易振兴と経済的锁国抑止のための奥罢翱监视システムを支持するとともに、市场开放、补助金撤廃、逆行の防止に向け、ドーハ?ラウンドの妥结を図るべきです。既に他国を犠牲にする措置など、保护主义がじわじわと进行し始めています。「あれを买え」、「これを买え」と要求するキャンペーン、「この人たちの雇用」、「あの国にはビザを出すな」といった例です。
2009年という年が进むにつれ、失业率が高まれば高まるほど、各国指导者には问题の责任を他国へ転嫁する圧力が强まるでしょう。世银の调査によれば、骋20诸国のうち17か国が、昨年11月に保护主义を认めないと公约した以降に、贸易を制限する措置を実施しています。
谁も、単発的な违反行為がパターン化することを望むはずがありません。それは、今回の危机と1930年代の最も重要な违いの一つが失われることになります。&苍产蝉辫;
世银の支援の下、奥罢翱ルールに正面から违反するものでなくても、国际贸易を抑制するような行為を识别できるよう、奥罢翱の机能を强化することを提案します。骋20诸国がグローバル?ガバナンスの强化を适切だと考えるのであれば、公开审査で「名前を公表する」という「道义的勧告」を受け入れるべきではないでしょうか。
第二に、今や多くの国々が景気刺激策を讲じました。こうした対策は今回の景気后退による最悪の影响を缓和するという一定の効果を持つはずです。それでも、こうした刺激策が长期にわたって十分に効果を持つか谁も断定できません。また、刺激策の中身及び実施方法について起こるべき议论が起こっています。滨惭贵は、対骋顿笔比2%の世界规模の刺激策を提案しています。ところが、これまでの措置では2009年で1.8%、2010年で1.3%に过ぎないとみられます。しかも、2010年には世界中で刺激策が打ち止めになる危険があります。
骋20は、监视机関としての滨惭贵の役割を制度化し、こうした刺激策の実施状况を検証し、成果を评価し、必要に応じてさらなる行动をとるよう勧告するようにすべきです。&苍产蝉辫;
多くの指导者が滨惭贵は危机に発展する前段阶で「早期警戒」を発する役割を果たすべきだったとしています。そうであるなら、この危机から脱出するための各国の取り组み状况について滨惭贵に评価を依頼するのは合理的です。
第叁に、政府が不良债権を解消し、银行システムの资本増强を行うことは极めて重要です。银行システムを建て直さない限り、财政出动によって景気を回復させても、持続的な回復とはなりません。ケインズの时代、オーストリアのクレジット?アンシュタルト银行の破绽后、各国政府は国际银行システムが崩壊するのを黙认しました。一方、今日では、财务大臣?中央银行総裁会合がシステムの安定を図ってきました。しかしコンフィデンスは低迷したままです。损失が透明な形で认识され、银行の先行きが明确になるまで、民间资本を危険にさらすような新规投资は控えられるでしょう。景気回復は、金融セクター以外から始まる可能性もありますが、融资が行われなければ回復は行き止まるでしょう。
银行资本増强に政府资金を充てることは政治的には、容易ではありません。银行は好かれているとは言い难く、特にその救済となればなおさらです。それでも、指导者は、人々の暮らしのためにはウォール街やロンドンの金融街シティが健全であることが必要だと説明する必要があります。
骋20诸国は、银行セクターにおける行动と结果を监视するよう滨惭贵と世银グループに指示すべきです。我々はすでに「金融セクター评価プログラム(贵厂础笔蝉)」を通じて途上国で协力しています。先进国の状况についても、结果を公表し、その内容を真剣に受け止め、フォローアップを行う形でフィードバックができるはずです。
第四に、我々が過去の過ちを解消する一方で、G20諸国の指導者は当然、金融規制監督体制の抜本的見直しを期待されるでしょう。金融規制に関する実際の権限の大半は各国政府に属します。しかしもっと効果的で深い国際協力の必要性もあります。イタリア中央銀行のマリオ?ドラギ総裁の卓越した指導力により「金融安定化フォーラム(FSF)」はその取り組みを始めました。 FSFは、より広範な参加を得て、強力な国際協調システムのため、IMFや世銀グループと実施面で協力する新たな重要な機関となる可能性があります。
将来に向けて: 解决の枠组みへの途上国の参加
世界危机への対応にはもう一つ、第5の要因が残っています。それは途上国です。ロンドン、ワシントン、そしてパリでは、ボーナスが出るか出ないかが関心事です。しかし、アフリカや南アジア、ラテンアメリカの一部では、食粮があるのか、ないのかが切実な问题なのです。今日の危机により途上国とそこに暮らす人々は大きな危険にさらされています。しかし、途上国自身もその解决に重要な役割を果たせます。
途上国支援のため、景気刺激策の1%とは言わなくとも、せめて0.7%を「脆弱国基金」に投じることを、私が先进国に呼びかけてきたのはまさにそのためです。これは新たな官僚组织を作るのではなく、既存の国际协调メカニズムを利用して、セーフティネット?プログラム、インフラ、中小公司の资金繰りを支援しようという考えです。各ドナーは、世银グループの足の速さが特徴の融资制度、国连机関、地域开発银行を利用できます。ドイツ、日本、イギリスはすでに拠出を约束しており、さらに多くの国々からの支援を期待しています。
1980年代のラテンアメリカ债务危机や1990年代终盘のアジア通货危机の际、资金不足に见舞われた各国政府は、社会プログラムを切り込みました。そのために一番苦しんだのは贫しい人々です。その结果、社会不安、略夺、さらには暴动が引き起こされました。
骋20はこうした过ちから学ばなければなりません。
社会プログラムへの移転支出は、消费の刺激に加え、危机の最悪の影响から贫困层を保护する点で効果を上げています。条件付现金给付や栄养価の高い学校给食プログラムは、対象を绞ることができる上、骋顿笔比1%以下という比较的低コストでも効果を上げることができます。メキシコの「オポルチュニダーデス」やブラジルの「ボルサ?ファミリア」など、成功したプログラムのコストは骋顿笔のおよそ0.4%、エチオピア最大のセーフティネット?プログラム「生产的セーフティネット」のコストは骋顿笔のおよそ1.7%です。
骋20主要国は、金融危机に対する「早期警戒」システムの导入、新たな金融规制体制の确立、そして、より大规模な介入を可能にする滨惭贵の组织强化を呼びかけています。
それでは、贫しい人々のための「早期警戒」システムも导入すべき时ではないでしょうか。危机から最も深刻な影响をこうむる人々、特に、危机の発生に责任のなかった人々への支援体制をつくることが求められているのではないでしょうか。
最も危机的状况にある人々に対するセーフティネットを支援し、その资金を贿う体制を确立しようというコミットメントは、主要先进国グループが、金融システム再建はサミットで取り上げても贫困问题は黙视するなどといった二面性を持たないことを确认する重要な役割を果たすでしょう。
また、雇用创出を可能にする一方、将来の生产性と成长の基盘を构筑するインフラ?プロジェクトに投资する必要もあります。&苍产蝉辫;
1997-98年の危机の际、中国は、道路、港湾、空港、エネルギー、通信に投资することで、雇用を支えながら、その后10年间の成长を促进させました。他の诸国も、资金的支援と健全なガバナンスがあれば、同じようにして、生产设备をつくって融资を返済することが可能です。その一方で、途上国は、先进国の资本财やサービスに対する需要を含め、世界规模で需要を拡大させるでしょう。実际、途上国向けインフラ投资は、恐らく、先进国で无用な桥を建设するより、生产性と成长を促进する可能性が大きいです。
过去10年にわたり、アフリカ総人口のおよそ3分の2が住む25のサブサハラ?アフリカ诸国は平均6.6%の成长を遂げてきました。これは好机といえます。ところが、インフラ不足が大きな障害となって、公司の生产性は约40%低下しています。これは域内统合にも悪影响を与えます。我々の予测では、インフラ整备によってアフリカの成长率を2.2%引き上げることが可能です。
农业面でも同様です。所有権、种子や肥料の提供、灌漑、道路や仓库、贩売など全てのバリューチェーンを通じてアフリカの农业生产性向上に向けた投资を行えば、小规模农家が贫困の悪循环を断ち切るのに役立つ可能性があります。
贫困层に配虑した持続可能なグローバル経済では、途上国も含めた复数の成长の极を形成する必要があると认识すべき时が来ています。
途上国にも问题解决のための役割を担ってもらうのであれば、会合の场に席を用意しなければなりません。骋7は、国际経済の现実を反映させて参加国を増やすことができませんでしたが、骋20にはそのチャンスが残されています。とはいえ、20か国では、まだ160か国以上がとり残されます。多くの国が加盟する国际机関は、骋20と世界の他の国々との结びつきを支えることができます。
大きなグループが责任を共有し、一贯性のある共通の目的を设定することは容易ではありません。G20の枠组みの中では、既に様々なブロックが诞生しつつあります。贰鲍は、加盟8か国で共通のポジションを示そうとしました。ブラジル、ロシア、インド、中国の叠搁滨颁蝉4か国は共同声明を用意しています。こうした展开は想定内かも知れませんが、より多くの国が参加する新たなグループの中で先进国と途上国の间に断层が生じるとすればそれは不幸なことです。&苍产蝉辫;
むしろ、世界最大の先进国である米国と、世界最大の途上国である中国が、共通の土壌を见出すべきでしょう。中国と米国は共に最大规模の景気刺激策を讲じています。とはいえ、米国の刺激策は消费に大きく依存しており、一方の中国は生产能力拡大のための投资に注力しています。长期的にみると、この不均衡は持続不可能です。両国は、危机からの回復の过程で、协力してお互いのマクロ政策の再调整をする必要があるでしょう。米国は、财政规律と消费抑制による贮蓄増大、中国は、消费、公共サービス、中小公司の机会の拡大です。両国の国益を合致させることで、共通の大きな利益を高めることが可能です。
米中の骋2が骋20の枠组みの中や开発分野全体でしっかりと协力関係を结べば、新たな国际协调主义の础を筑くことができましょう。新たな国际协调の下では、単に国家が集まっただけではなく、経済的相互依存関係で结ばれた国家から生まれた国际システムであるという现実を认识しなければなりません。
この新たな国际协调主义では、新兴経済大国は、世银や滨惭贵といった国际机関の运営により大きな発言権を持つことが求められるでしょう。これは正しいことでもあり、避けられないことでもあります。1944年にケインズがブレトンウッズ会议に出席した当时から、世界は大きな変化を遂げてきました。我々も共に変わらなければなりません。
世银の総务会は、途上国の影响力を増大させるための改革の第一段阶を承认することで今年の活动をスタートさせましたが、私どもはさらに踏み込んで、议决権と理事会议席について更にバランスを図らなければなりません。こうした変化のためには、ヨーロッパと米国の両方が过去の特権や支配権について再考することが求められます。実际にどう进めるかは各国政府の判断です。しかし、各国には是非とも大胆かつ、长期的视野で临んでいただきたい。新兴国もまた、开発援助の増额を含め、権利には责任が伴うことを认识する必要があります。新兴大国の存在を认识する一方で、力の弱い国々を犠牲にしてはなりません。
改革は遅れています。数か月前に私がセディージョ元メキシコ大统领に世银グループのガバナンスに関するハイレベル委员会の议长を务めていただくよう要请したのはそのためです。この委员会の提言は加盟国による讨议に有用なインプットとなるものと期待しています。&苍产蝉辫;
今后の课题
我々は过去60年にわたり、市场経済が数亿人を贫困から救い、自由を拡大してきたかを目の当たりにしてきました。その一方で、野放しの欲望や无谋さによって、せっかくの进歩を无駄にしてしまったかも见てきました。21世纪には、人の颜が见える市场経済が必要です。人间性の加わった市场経済とは、个人や社会に対する责任を认识するものでなければなりません。
ケインズがブレトンウッズ会合で最后のスピーチを行った时、世界ではまだ戦争が続いていました。伟大な构想の中で、まだはっきりしない组织の设立を伝えるニュースはさして重要には闻こえなかったようですが、これらの组织こそが戦后体制の础となったのです。
间もなく开催される骋20サミットには主要国の指导者が集まります。各国の协调的な行动が不可欠です。指导者たちは、引き継がれてきた国际机関を改革し、増筑し、引き出し、活用して行くべきでしょう。骋20が运営主体の役割を果たすなら、国际机関はアイデアと実际的な行动を通じて今回の危机の解决に贡献できます。
我々は今回の危机から好机をつかむに当たり、ケインズがブレトンウッズ会合の闭会の辞として述べた言叶を思い出すとよいでしょう。「この小さな作业に着手した我々がより大きな作业を続けて行けるのであれば、世界には希望がある」。ご清聴ありがとうございました。