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特集 2017年8月7日

奨学金プログラム修了生の声:中村昌平エコノミスト

第3回インタビュー(2017年8月7日)

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中村昌平 エコノミスト
世界银行 贫困?平等グローバルプラクティス

日本?世界银行共同大学院奨学金制度(闯闯/奥叠骋厂笔)奨学生としてミシガン大学博士课程留学を経た后、2015年より世界银行贫困?平等グローバルプラクティスにてエコノミストとして勤务。2004年东京大学文学部卒业、2004年?2008年东京都庁勤务、2010年コーネル大学地域计画修士号取得(フルブライト留学生)、2014年ミシガン大学博士号(都市计画)取得、2014?2015年ハーバード大学デザイン大学院(骋厂顿)客员研究员。


世界银行での现在の仕事内容を简単に教えてください。

エコノミストとして、主に東アフリカ諸国(エチオピア、ルワンダ、ケニアなど)の政府に対して政策立案支援を行なっています。エコノミストの中でも私のポジションは貧困エコノミスト(Poverty Economist)と呼ばれるもので、主な業務は(1)貧困測定のためのデータ収集?分析支援、(2)都市化が一国あるいは農村部での貧困に与える影響の分析、(3)都市部における貧困の測定?分析などです。

例えば都市贫困の分析でいえば、现在アフリカのいくつかの国でスラムを対象とした调査を行っています。どの程度の割合の人々が贫困线以下の暮らしをしているかを推定するためには通常世帯调査を行いますが、都市部のスラムで暮らす人々が调査から漏れていると都市部での贫困率が过小に推定されてしまいます。また、主に农村部での贫困を计测するために设计された世帯调査票をそのまま都市部にあてはめると、都市特有の贫困状况?要因が见过ごされてしまいます。スラムに焦点をあわせた调査を行うことで、都市贫困の実态により深く迫れると期待しています。

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アディスアベバ(エチオピア)のスラム调査の様子

 

世界银行に就职した経纬を教えてください。

世界银行で働くことは大学卒业时からキャリア上の一つの目标としていました。専门性を持って国际机関で働くには博士号が必要だと闻いていたので、大学院留学もその顷から準备していました。途上国の贫困削减に贡献できるような仕事をしたいと思っていましたが、いかんせん农业や农村の事情に疎く、むしろ多様な人々が新たなものを产み出すプラットフォームとしての都市に魅力と可能性を感じていたので「都市」を自分の専门にしようと考えました。そのために世界一の规模を夸る东京を相手に仕事ができる东京都庁でまずは経験を积もうと思い数年働きました。

その後大学院留学を経て、直接的には日本人採用ミッションを通じて入行しました。当時はハーバード大学で研究しており、アカデミアでの就職活動も並行して行っていたのですが、自分の専門性を十分活かせるポストでかつ(コンサルタントやJPOでなく)正規職員として採用されることになった世界银行を選びました。 周りの同僚を見ると、皆博士号を取得して数年コンサルタントとしての経歴を積んでから常勤職員となっており、日本人採用ミッションは非常に有利な入り方だと思います。

闯闯/奥叠骋厂笔を受けて留学した先での専门分野、学生生活について教えてください。(インターンシップ、フィールドリサーチ等があれば含む。)

ミシガン大学の博士课程で都市计画を学びました。米国の都市计画大学院では修士课程と博士课程は独立しており、私はコーネル大学で修士课程を终えてからミシガン大の博士课程へと进みました。都市计画学は学际的な分野なのでテーマや手法を柔软に选ぶことができる反面、経済学などの确立されたディシプリンも持つ分野と比べると中途半端になりがちです。その点に気をつけながら、ミシガン大でのコースワークでは调査?分析手法について重点的に学びました。

博士論文では、インドのスラムにおける住宅問題について取り組みました。自身の住居や土地に法的な所有権を持たないスラムの住民は強制立ち退きのリスクと背中合わせに暮らしています。ひとたび居住の安全性が保証されれば、スラムの住民は自身の住居や子供の教育に活発に投資するようになるのではないか、という点を自分でデータを収集し検証しました。プネーという街をケースとして 、フィールドワークでは現地の大学生を10人以上雇い60近くのスラム居住区で世帯調査を行いました。調査費用は米国科学財団(NSF)から支援してもらいました。この調査をもとに博士論文に加え4本の学術論文を出版することができました。

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自らの手で住宅を改善するスラムの住民。プネーでのフィールドワークにて。

 

博士课程では自分の好きなことに全力で取り组むことができる反面、常に先行きが不安定で大変でした。コースワークの1年目と2年目の进级试験やフィールドワークのための準备?资金集めに奔走する傍ら结婚して父亲にもなり、米国?インド?东京を行ったり来たりしていました。

大学院で学んだことが今の仕事で役立っていると思われるのはどのようなことですか?

大学院で学んだトピック(都市计画?都市贫困?スラム问题)と手法(世帯调査収集?统计分析)は今の仕事で大いに役立っています。アフリカや南アジアでは贫しい人々の多くは以前农村部に集中していますが、都市化が进むなか、都市部での贫困问题がかつてなく重要となってきています。都市部特有の贫困问题を分析するには农村部におけるものとは别の知见が必要ですし、そこでデータ収集?分析をするためにはプログラミングの技术や高度な统计学の知识が欠かせません。今私が行っているアフリカ诸国のスラムにおける世帯调査は、博士课程中に行っていた研究のまさに延长であるともいえます。

とはいえ、どんな高度な知识もあっという间に陈腐化するので、大事なのは常に世の変化に身を晒し最新の知见を取り入れる姿势を身につけることだと思います。もちろん、大学院にいる间に身につけた英语でのコミュニケーションやプレゼンテーション、论文?レポート执笔といった技术も役立っていますが、もっと磨きをかけなければと思っています。

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エチオピア道路事业の现场视察を终えて一息

 

世界银行のような国际机関に将来就职する场合の大学院选びについてアドバイスはありますか?

将来世界银行やその他国际机関でどのような仕事をしたいかによって、大学院の选び方は大きく异なると思います。私のように主にリサーチを通じて途上国に贡献したいのなら、博士号は必须ですしそのためには长期にわたる準备が必要です。戦略としては、いかに自分を他の竞争相手と差别化するかが大事ではないでしょうか。私が世界银行に採用されたのも、これまで比较的軽视されてきた都市部の贫困问题を専门としており、かつ博士レベルの调査手法を身に着けているような人が他にあまりいないからだと思います。

闯闯/奥叠骋厂笔をお荐めする理由があるとしたらそれはなんですか?

博士课程での留学も対象にしており、支给额も手厚い闯闯/奥叠骋厂笔は本当にありがたい奨学金だと思います。他の日本人受给者や途上国出身の受给者と多く知り合うことができ、ネットワークも広がります。米国の博士课程では大学院から生活费を支给してもらうかわりにティーチング?アシスタント(罢础)として働く必要があり时间的に大きな制约になりますが、私の场合闯闯/奥叠骋厂笔のおかげで最初の2年间は働かずにコースワークに集中することができました。结果として、他のクラスメートより数年早く卒业することができました。



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